GMOサイバーセキュリティ byイエラエ 福森大喜の「リトル福森」との出会い
取材の最後に記者は、キャリアを重ね数々の業績を積み、後進を育てる年齢を迎えつつある福森に、同社の若い技術者たちに向けたコメントを求めた。この回答のみ以下に全文を収録したい。
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── このインタビュー記事は GMOサイバーセキュリティ byイエラエ社内の人たちにも読まれる機会があると思います。最後に若い技術者に向けたメッセージがあればお願いします。
僕がインターポールでいろんな犯罪捜査をした中ですごく印象に残っていることがあって、それはバングラデシュをサポートしたときです。2016年ぐらいだったかな。北朝鮮からバングラデシュ中央銀行が攻撃を受けて 80 億円くらい盗まれる事件が起こったんです。そのときバングラデシュがインターポールに助けを求めてきて、何をやったらいいのかわからないので来てくれ、という依頼を受けて行くことになりました。
当初は盗まれたということしかわかっていなかったので、正直インターポールもどこから手をつけたらいいのかわからない状態でしたが、僕はマルウェア解析もやれるし、フォレンジックもわかるし、ネットワークのペンテスト的なこともわかっているので「福森がいいんじゃないか」っていうことで選ばれました。
バングラデシュに赴いて FBI と合同で調査をしてシンガポールに戻ったんですが、もう一回バングラデシュに行かないと、という話になりました。ちょうどその時です。バングラデシュでテロが起こったのは。日本人も巻き込まれたということもあって、これはさすがに、もう一度行くのはやめた方がいいんじゃないかっていう話になりました。
そのときにふと考えたのが、バングラデシュの 80 億円と日本の 80 億円とではやっぱりそれは全然違っていて、平均年収とか比べれば、本当に日本の 10 分の 1、20 分の 1 くらい違うような国で、そんな国で 80 億円盗まれて困っている。それなのに僕はこうして助けに行かないって判断をしようとしている。そのときに僕の中に「リトル福森」が現れてきてですね。