クラブは振るけど、腕は振らない!? 「手の動きが小さい」ことを理解できるとゴルフは一気に上達する【謎キャラコーチ『わきゅう』の気になる話♯80】
一昨年の全米女子アマを制し、23年12月のプロテストで合格した馬場咲希プロを、中学1年から指導しているのがプロコーチの坂詰和久(さかづめかずひさ)、通称『わきゅう』だ。坂詰コーチと20年以上の付き合いがあるベテラン編集者Oが、謎キャラコーチの気になる話を聞き出す。今回は「手の動きはとても小さい」がテーマだ。 パリ五輪金、リディア・コーのドライバー正面連続写真(撮影/Blue Sky Photos)
腕を回旋させる動きを知る必要がある
坂詰 アマチュアの方と話をしていると、ゴルフのスウィングは、手を上げて下ろすもの、腕は左右に振るものだと思ってる人が多い気がするんです。 O編 あぁ、そうかもしれないね。だって、スウィングを正面から見たら、手は上下に動いているし、腕は左右に振られているように見えるもん。あれを見たら、手も腕も動かすものだと思っちゃうよ。 坂詰 確かに、プロでも手は多少上下しますし、腕を振っているプロも少なくありません。それでも、体に対する手や腕の動きっていうのは、読者のみなさんが思っているよりずっと小さいものなんですよ。 O編 よく、「スウィングは、腕を体の正面に保ったまま体を回すだけ」なんて言われるもんね。でも、その感覚って、なかなか理解してもらえないでしょ? 坂詰 それを理解するためにも、腕を回旋させる動きを知る必要があるんです。 O編 ここ何回かにわたって説明してきた動きだよね。腕は、バックスウィングで右に回旋し、ダウンスウィングからフォローにかけては左に回旋するのが自然な動きだと。 坂詰 その動きがわかると、手を動かさなくても、ヘッドが大きく動くようになります。その結果、スウィング中のムダな手の動き、腕の動きも抑えることができるんですよ。 O編 詳しく教えてよ。
手の動きはとても小さい
坂詰 たとえば、真っすぐ立って、体の正面にクラブを立てて持ったとしますよね。そこから、 手をなるべく動かさず、左腕の付け根から腕を右に回旋させて、クラブを水平にするくらい右に倒してみてください。すると、手は体の正面から動いていないのに、ヘッドは大きく動くでしょ? O編 そうだね。え~と、仮に、ドライバーが46インチとしようか。円周は直径×3.14 だから、半径46インチ×2×3.14 で288.88 インチ。で、この場合、その4分の1動くとして72.22インチか。ってことは、1インチは2.54㎝だから……。おおお。今の動きだけで、ヘッドは183.44㎝も動くんだね! 坂詰 つまり、腕と手を体の正面に保っていても、ヘッドってそのくらい動かせるんです。 O編 それがわかると手を上下動させたり、腕を左右に振ったりしなくても、ヘッドは十分に動くということは理解できるね。 坂詰 ゴルフのスウィングは、腕を体の正面に保ったまま体を回旋させる動きと、腕を左右に回旋させる動きを足したものだと考えてもらえば、わかりやすいんじゃないでしょうか。 O編 その動きに近づけることができれば、スウィング中のムダな手の動きや、腕の動きを抑えられるってことか。