渋野日向子〝完全復活〟のヒントをツアー関係者が指摘「欲を出し過ぎないときの方が、良かった」
国内ゴルフ界随一の人気者・渋野日向子(26=サントリー)は、今季の戦いを終えて米女子ツアー本格参戦4年目となる来季へ向けてオフに入っている。今季はポイントランキング64位で80位以内のシードは奪還したものの、夏場以降は低迷。来季こそは勝利が期待される中、〝欲〟との向き合い方にも完全復活のヒントが隠されているようだ。 渋野の今季は極端だった。開幕から9試合で6度の予選落ち。シード復活すら危ぶまれる状況だったところ、10試合目となったメジャー第2戦「全米女子オープン」で単独2位に。さらに同第3戦「全米女子プロ選手権」では7位と健闘して復活を印象づけた。 しかし、その後は目立った成績を残せず、ポイントランクはずるずる後退。最終戦「CMEツアー選手権」の出場権を得る60位以内をキープできなかった。今季最後の試合となった「アニカ・ゲインブリッジ・ペリカン」最終日(17日)のラウンド後には「総合力を高めないといけないと思うし、1年間安定したゴルフができるように準備したい」と課題を挙げた。オフの間に、スイングやパッティングなど技術的な調整をしていくことになる。 その渋野をめぐって、ツアー関係者からはこんな指摘もある。「すべてではないが、今年のプレーを見ているとスコアを出したい、出さなきゃというラウンドで、なかなか結果が出ていない印象がある。逆に、結果に対する欲を出し過ぎないときの方が、良かったように感じる」 例えば、今季ベストの「全米女子オープン」。直近2試合の連続予選落ちなど不調時で迎えたことに加え、メジャーの難コースだったことが、自分自身に過度の期待をかけずに済んだとも考えられる。実際、5差5位で決勝ラウンドに進んだときには「このコースは難しすぎると思っていて、イーブンで上出来と思っていたので、その気持ちが良かった」とコメントしていた。〝無欲〟もプラスに働いたわけだ。 一方で、こんな試合もあった。米ツアーでは数少ない3日間大会「アーカンソー選手権」前には、例年伸ばし合いの展開になるだけに「初日から攻めのプレーでピンを狙っていきたい」と気合十分。しかし、結果は予選落ち。この大会は、通算3度の出場ですべて決勝ラウンドに進んでいないのは、ゴルフの調子以外に、スコアを求めすぎる欲がマイナスに働いた可能性もある。 そもそも、2019年「AIG全英女子オープン」を制したのも、優勝を念頭に置いていなかったから。結果を恐れない果敢なプレーは、そこから生まれた。さまざまな経験を積んだ今、あのころと同じ境地になるのは無理とはいえ、本人の目指す安定したゴルフへは欲を操るすべも身につける必要がありそうだ。
東スポWEB