次世代を担う日本代表をどう育成していくか?
ワールドカップ・ブラジル大会の開催に合わせて中断されていたJ1が、先週末に本格的に再開された。次期代表監督として元メキシコ代表監督のハビエル・アギーレ氏の就任決定が秒読み段階に入ったとされる中で、4年後のワールドカップ・ロシア大会を目指す新生日本代表を担う選手は誰になるのか。 ■日本代表に顕在化している「流れ」 直近の2つのワールドカップを振り返れば、日本代表にはひとつの「流れ」が顕在化している。4年前の南アフリカ大会は、2004年のアテネオリンピックに出場したDF田中マルクス闘莉王、DF阿部勇樹、MF松井大輔、FW大久保嘉人らが中心となっていたチームを、FW本田圭佑、DF長友佑都らの2008年北京オリンピック組がレギュラーを奪ったことで活性化させた。 今回のブラジル大会に臨んだチームは立ち上げ時から本田や長友、DF内田篤人、DF吉田麻也、FW岡崎慎司、FW香川真司らの北京オリンピック組が主軸を担い、本番まで1年を切った段階で2012年のロンドンオリンピックに出場したMF山口蛍が急成長を見せてレギュラーの一角に食い込んだ。つまり、当該するワールドカップの6年前に開催されたオリンピックの世代が中心を担い、2年前の世代が突き上げる構図が育まれていることになる。必然的に次回のロシア大会はロンドンオリンピック組が主軸を務め、そこへリオデジャネイロオリンピック世代が台頭してくる図式が求められる。 ■4年間のダメなところは競争が生まれなかったこと 元日本代表MFで、現在は解説者を務める水沼貴史氏も「競争は不可欠」とこう続ける。「チーム内に競争が生まれなかったことが、ブラジル大会までの4年間のダメなところだったと言ってもいい。その意味では既存の代表選手たちに火をつけ、それこそ追いだすような存在が出てこないとおそらく厳しい。具体的な選手名を挙げるのではなく、年齢的にはロンドンオリンピックの世代が出てこないともちろんダメでしょう。今回のワールドカップでも代表には選ばれたけれども、なぜ試合には出られなかったのかという点をあらためて考える必要がある。リオデジャネイロ世代を含めた若い選手たちも、もっともっとJリーグの舞台でプレーしていかないといけない」。 ■結果を残せなかったロンドン五輪世代 山口を除くロンドンオリンピック世代のブラジル大会における結果を見れば、FW大迫勇也は2試合に先発して無得点。FW柿谷曜一朗は2試合、FW清武弘嗣は1試合に途中出場しただけに終わり、GK権田修一、DF酒井宏樹、DF酒井高徳、FW齋藤学はともに出場機会がなかった。胸に募らせた悔しさを発奮材料に変えたのか。齋藤は所属する横浜F・マリノスですでに2ゴールをマークし、ブラジル大会の代表には選ばれなかったFW宇佐美貴史は19日のヴァンフォーレ甲府戦で1ゴール1アシストと全得点に絡み、「この試合から次のワールドカップへの道が始まる」と力を込めた。 今年1月に鹿島アントラーズからブンデスリーガ2部の1860ミュンヘンに移籍した大迫は、ワールドカップ期間中に新シーズンから1部に復帰するケルンへ移籍。柿谷も愛着深いセレッソ大阪からスイスの名門バーゼルへ移籍し、新天地でそれぞれ捲土重来を期している。