次世代を担う日本代表をどう育成していくか?
■世界でも異例の取り組み J3アンダー22 一方で日本サッカー協会とJリーグは今シーズンから、リオデジャネイロ世代を含めた若手世代を集中的に強化する狙いを込めて、新設されたJ3にJリーグ・アンダー22選抜チームを特別参加させている。所属クラブで週末の試合のベンチに入れなかった選手をその都度招集。リーグ戦前日に全体練習を一度だけ行っただけで、全33試合をアウェーで戦う世界でも異例の方式には、日本サッカー界全体が抱える将来への大いなる危機感が凝縮されている。 選抜チームを参戦させる意図を、日本サッカー協会の原博実専務理事(兼技術委員長)はこのように語ったことがある。 「19歳から22歳までの世代の強化はここ数年来の課題であり、Jリーグとも常に話し合ってきた。クラブで育つのが本来あるべき姿だが、まずは日本協会とJリーグ、Jクラブが一緒になってリーグ戦という真剣勝負の中で鍛えて、3年かかるところを1年で成長させたい」。 ■まだまだ課題の多いアンダー22 ブラジル大会の決勝でドイツを世界一へ導く劇的なゴールを決めた22歳のFWマリオ・ゲッツェ、大会得点王を獲得したコロンビアの23歳のMFハメス・ロドリゲスをはじめとして、20歳代前半でA代表の中心を務めている選手が世界では少なくない。日本にはそうした選手が不在だった上に、世界への登竜門とされるU‐20ワールドカップへの出場も3大会連続で逃している。リオデジャネイロオリンピックへの出場権獲得そのものにも危機感を抱いたがゆえにJリーグ・アンダー22選抜チームが創設されたわけだが、実際には青写真通りには進んでいないと前出の水沼氏は指摘する。 「個の能力が高く、J1での出場経験がある選手が招集されたときには大勝したこともあるけれども、ほとんどの試合で選抜チームは残念ながら戦えていない。チームで練習していない、といった類の言い訳が入ってしまう。向上心を持って上を狙おうという気持ちがあるのならば、どんな環境でも100%の力を出して自分の存在価値を出さないといけない。今回のワールドカップであらためてわかったことは、どんなに上手くても戦えない選手はダメだということ。なぜ選抜チームに招集されているのか、そもそもなぜ選抜チームが結成されてJ3を戦っているのかを理解しないといけない。2年後のオリンピックや、日本サッカー界全体の強化のためでしょう。厳しい言い方になるが、J3で戦えなければどこでも戦えないと思う」。 J3再開初戦となった20日のSC相模原戦こそ3対2で勝利したJリーグ・アンダー22選抜だが、18試合を終えて7勝1分け10敗で12チーム中の8位に甘んじている。総得点22は6位とまずまず健闘しているが、総失点33はリーグワーストのブラウブリッツ秋田と1しか変わらない。