火星最接近、輪が消える土星、皆既月食…今年の天文見どころ
さらに細かくみると、輪が見えなくなる条件は(1)地球から土星の輪を真横から見る時、(2)太陽光が真横から当たるため、輪の“表面”に当たらない時、(3)地球から輪の日陰側を見る時――の3通りがある。 国立天文台によると、今年は3月24日に上記の(1)、5月7日に(2)、両者の間の期間に(3)の状態となる。ただし3月~4月中旬は、土星が地球から見て太陽の向こう側にあり、見るのは難しい。11月25日ごろに再び(1)の状態となり、この時は夕方から夜にかけて空の十分高くにあり、観察しやすい。輪の有無を見分けるには天体望遠鏡が必要。持っていない場合、最寄りの科学館などの観望会を利用するのも手だ。 9月8日には皆既月食が起こり、全国で観察できる。3月14日にもあるが、東日本の一部で皆既食が終わった後、一部が欠けた状態しか見えないという。12月のふたご座流星群は、月明かりの影響がなく比較的条件が良いという。 ◇
「4D2U」上映システム更新 国立天文台・三鷹
国立天文台は東京・三鷹キャンパス内の「4D2U(フォーディーツーユー)ドームシアター」の上映システムを昨秋に更新した。シアターは2007年に公開を開始。スパコンのシミュレーションや最新の観測データを活用し、天体や宇宙の構造、進化などの研究成果に関し、美しい立体映像を通じ一般への普及を進めてきた。 4D2Uは、空間の3次元と時間の1次元を合わせた「4次元」宇宙を、デジタルデータで可視化したものを意味する。ドームスクリーンは直径10メートル。2015年から稼働した機器類が耐用年数を過ぎ、不具合が目立つようになったことからリニューアルし、より鮮明な映像を実現したという。 4D2Uプロジェクトリーダーを務める小久保英一郎教授は「一般の方に向け、最新の宇宙像を科学的に正しく、“なんちゃって”をなるべくせずに可視化。エンターテインメント性も持たせることを目指している。研究者に3次元的視点を提供したり、研究用動画を作ったりすることにも貢献していきたい」と話す。定例公開は、専用サイトによる予約制で行っている。