TTD がCTVオペレーションシステム「ベンチュラ」で新たな一歩を踏み出すなか、湧き上がってきた疑問とは?
記事のポイント TTDは新OS「ベンチュラ」を発表し、CTV広告の効率化と個別化を図る見込み。 主要パートナーと展開計画を進めるが、物流や収益モデルの課題が懸念されている。 広告テック改革への期待とともに、業界関係者は利益相反解消の方法を注視している。 ザ・トレード・デスク(The Trade Desk、以下TTD)は、最新の決算発表において2024年を「CTVの当たり年」と宣言した。長年にわたって広告テック企業としてウォールストリートのお気に入りだった同社の、今では聞きなれたキャッチフレーズだ。 市場を注視していた人々は、11月初頭の決算発表直後の余波として、DSPの株価が急落するのを目にした。それでも、11月20日にずっと噂されていたTVオペレーティングシステムのベンチュラ(Ventura)が確認されたことで、2025年に市場のディスラプション(変革)が起こることが予測され、市場の関心をさらにかき立てている。 要点をまとめるとベンチュラとは、ユーザーエクスペリエンスを拡張し、CTVの広告サプライチェーンを合理化してコンテンツの競合を解決するよう設計された、新しいストリーミングTVオペレーティングシステムのことだ。TTDからのリリースによると、ベンチュラにはオープンパス(OpenPath)やUID 2などのツールによって可能になる、プラットフォームの垣根を越えた発見、パーソナライゼーション、そして広告を減らす(おそらくはより妥当性のある広告にする)などの機能も含まれるという。
サプライチェーンのホップとコストを最小化
実際に、「ベンチュラは広告のROI(投資回収率)とストリーミングプラットフォームでのオーディエンスのターゲット設定を改善する」と、DSPである同社は主張している。なお、ディズニー(Disney)、パラマウント(Paramount)、トゥービ(Tubi)、ソノス(Sonos)などのストリーミングサービスプロバイダーがローンチ時のサポートパートナーとして名を連ねているという。 さらに同社によると、スマートTVのOEMやほかのストリーミングTVアグリゲーターと提携し、2025年初頭にベンチュラを展開するようだ。 広告テックに特化した企業がこのような活動を行うのは初めてのことで、TTDはストリーミングTVの広告に対して、はるかにクリーンなサプライチェーン、すなわちサプライチェーンのホップとコストを最小化できることを強調している。 この活動の確認は、TTDのCEOを務めるジェフ・グリーン氏がこのほど話したいくつかの内容と反するように見えるかもしれないが、これは(予想されるように)ロールアウトに関する憶測を引き起こしたものだ。 消費者が近くの家電小売店でベンチュラブランドのTVセットが販売されているのを見かける可能性は低いため、ラストマイルの物流の課題については、消費者が無料で入手できるTVセットのテリー(Telly)の苦労についてのみ考えればよい。