俺らが大切にしているのは「今」――35周年を迎えたJUN SKY WALKER(S)が語る「昔のことはグチグチ言わない」 #昭和98年
ギター、リーダーの森純太(58)は、自分たちのライブがない日もホコ天にいた。 「俺もあの場所がすごく好きで、毎週のように行っていたんです。メジャーデビューしてもう路上ライブができなくなっても通っていましたね。だからホコ天がなくなったのは、ほんとに寂しかった」 イカ天の影響でエスカレートしたバンドブームは、ホコ天に人をあふれさせた。ひしめき合いながら演奏するインディーズバンドと、血まなこになって場所取りをするファンたち。70年代後半から約20年続いた原宿のホコ天は、平成を迎え、1998年に廃止された(その後2001年に完全廃止)。理由は、騒音とも、犯罪、トラブルが増えたからともいわれている。 「ピークは、すごい人だったよね。でも、まだ僕らがやっているころは、バンド同士スペースを取って、なるべく真向かいでもやらないように、演奏する時間もずらしたり、まだルールのようなものがあった」(小林) 「今思えば、あれはフェスの走りだった。あのころ、ホコ天にはひとつの文化があったと思う。いい時代でしたね」(宮田)
ジュンスカを忘れることはできなかった
ジュンスカがホコ天からいち早くメジャーに躍り出たのは、1988年のこと。『すてきな夜空』『歩いていこう』『白いクリスマス』など、立て続けにヒット曲を連発。デビュー翌年には日本武道館でのライブを成功させ、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで時代のトップアーティストに躍り出た。THE BLUE HEARTS、UNICORN、THE BOOMといった同時代のバンドとともに、当時を懐かしく思い出す人も多いだろう。 毎年のようにオリジナルアルバムを発表したジュンスカだが、1997年に解散。ソロ活動、プロデュース業など、メンバーはそれぞれの道を歩んでいった。……ロックバンドとしては(バンドでなくとも)、よくあることだろう。時間が経てば、人間関係は変化する。考え方、方向性がずれていく。ファンたちから再結成を望まれながらも実現に至らなかったバンドは、いくらでもある。