俺らが大切にしているのは「今」――35周年を迎えたJUN SKY WALKER(S)が語る「昔のことはグチグチ言わない」 #昭和98年
それにしても、40年だ。友人とはいえ、長く同じチームで仕事を続けることは難しい。近いからこそ嫌なところが目についたり、嫉妬をしたり、金銭的な不公平感を抱いたりすることはなかったのだろうか。 「僕ら3人は、意外と根に持たないかな。忘れちゃう。もちろん、いろんな嫌なことはお互いにあった。ビジネスも絡んでもめたり、そりゃいろいろありますよ。でも、なんだろう、俺らが大切にしているのって、『今』なんですね。昔のことはグチグチ言わない。そのへんが、僕はこの仲間の好きなところです」(宮田) もう一度、人生をやり直せるとしたら、また自由学園の寮で過ごしたいと思うか? そう尋ねると、3人は顔を見合わせた。 「俺は……入りたいかな」(宮田) 「俺も、やってみてもいい」(小林) 「俺も。もっとうまくやれそうな気がする」(森)
皆とこうして一緒にやれることは、奇跡だと思う
記念すべき35周年。ジュンスカはデビュー当時のレーベルであるトイズファクトリーに戻り、新曲を発表した。それぞれにソロ活動もしながら、今年はしっかりとジュンスカに集中したいと意気込む。6月には、今年で100周年を迎える日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブを予定している。 「長く続けてきたから、1ステージでは絞りきれないほどの楽曲がある。これは幸せなことです。これからもたくさん曲を作って、ジュンスカをより良いバンドにしていきたい。若い人たちにも、ぜひライブを見てほしいですね」(森) 20代の前半でドカンと売れたジュンスカ。生意気で、怖いもの知らずだった。でも、だからこそ今がある、と振り返る。そして今、彼らを突き動かしているのは、「感謝」の念だ。 「この年齢になってくると、家庭や健康上の理由もあったり、続けること自体がなかなか難しい。バンドのメンバーや、昔から知っているスタッフの皆とこうして一緒にやれることは、奇跡だと思う。若いころはロッカーがそんなこと言ったら『だせえ』みたいな気持ちもあったけど、今は胸を張って言えますね。感謝しながらロックンロールやってます、って」(宮田) 同世代のファンだけでなく、当時を知らない若い世代にもジュンスカが刺さるのは、彼らが中高生時代のピュアな思いをいまだに持ち続けているからだろう。大人になってもロック少年のまま、いつまでも私たちを励ましてくれるのだ。