「僕の考えているシティポップはもっと自由」――韓国人DJ兼プロデューサーのNight Tempoが築くボーダーレスな音楽の世界
日本の昭和ポップスをリエディット(再編集)し、日本のみならず海外でも話題の韓国人DJ/プロデューサーのNight Tempo。「シティポップの世界的なブームの立役者の一人」とメディアで紹介されることが多いが、日本のシティポップをめぐる状況を「ちょっと変な形」とも言う。その真意と彼がこれから築こうとしている音楽の世界について聞いた。(撮影/豊田哲也 Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
1970年代から80年代に日本で生まれた「シティポップ」がいま、世界中で人気を博していると日本のメディアでは話題だ。竹内まりやの1984年の楽曲「PLASTIC LOVE」は、YouTubeですでに5000万回以上再生されており、海外に知られる日本のシティポップの代表曲として名高い。 このシティポップの世界的なブームの立役者の一人、とメディアで紹介されることの多い、DJ/プロデューサーのNight Tempoは、1986年に韓国で生まれ、80年代のJ-POPをダンスミュージックに再構築したネット発の音楽ジャンル、「フューチャーファンク」のシーンから登場。現在はアメリカと日本を中心に活動している。
「僕が好きなのはシティポップではなくいわゆる80年代のJ-POP」
「PLASTIC LOVE」が世界中に広まるきっかけとなったのは、YouTubeを通じた非公式な動画で、5000万回以上再生されたという。そこからさらに、リエディットやリミックスされた動画が発信され、Night Tempoがリエディットしたバージョンの「PLASTIC LOVE」は1700万回以上再生されている。 当初、Night Tempoのリミックス音源はブートレッグであったが、日本の音楽関係者にその情熱を認められ、『Night Tempo presents ザ・昭和グルーヴ』というオフィシャルなリエディットシリーズが2019年からリリースされている。リエディットしているのは、Wink、斉藤由貴、中山美穂、工藤静香、菊池桃子から細川たかしまでと、シティポップの枠にとどまらない。