「料理は努力したものがそのまま形になる」長谷川あかりさんがタレントを辞め、料理家になった理由
全てにおいて尊敬できる夫がくれるアドバイス
小竹:そのまま芸能界にいるわけではなく引退をしたのには、どういった理由が? 長谷川:『天才てれびくん』という番組は総合バラエティーで、大人の人気タレントさんがお昼の帯番組でやるような企画が多くて、『天才てれびくん』を経たからといって、それを活かせるものがあまりないんです。 小竹:なるほど。 長谷川:結局、その先のステップに進みたいときに、『天才てれびくん』のキャリアは名前は売れているけど、例えばモデル活動やお芝居などをやってきた子たちに比べると、積み重なっていかない部分があって…。 小竹:難しいところですね。 長谷川:私もその壁にぶつかって…。お芝居をやりたいと思っていたけど、『天才てれびくん』で頑張っていたことはなかなかつながっていかない。逆に、天てれに出ていた子という色が変についちゃっているために嫌がられることもある。だから、オーディションがうまくいかない時期もありました。 小竹:そういうこともあるのですね。 長谷川:やめた時期は舞台とかでいろいろとできてはいたのですが、将来どうしようかと悩んでいた20歳のときに婚約をしたんです。だから、自分でやめる決心はつかなかったので、結婚するのを言い訳に、いい意味で人のせいにして決断できたというのはありますね。 小竹:まだ20歳だったんですよね? 長谷川:子どもの頃からいろいろな大人と接している中で、「私もこの人みたいになりたい」と一番感じたのが夫だったんです。 小竹:それはどういった部分ですか? 長谷川:生き方、考え方、全てにおいて尊敬できました。こう生きられたら楽しい人生になるだろうという考え方の人だったので、一緒に過ごしていけたらいいなとは思っていました。もし向こうが結婚しちゃったら会いにくくなるので、ずっと友達でいられなくなるなら結婚しちゃったほうが早いなみたいな感じでしたね。 小竹:生き方などに対するアドバイスをくれたりもするのですか? 長谷川:自分の考えとは別路線で補強をしてくれます。「あかりちゃんの考えはこういう面から見て正しいし、こういう要素が入るともっと伸びていくとも思う」みたいにいろいろな方面から考えてくれて、「だから大丈夫だと思う」とアドバイスというより勇気をくれる感じです。 小竹:それは料理に関しても? 長谷川:私の本『つくりたくなる日々レシピ』の表紙のハンバーグに関しても、私はレシピを作る際に最初にテーマや要素を決めるから、帯に書いてある「こねない、みじん切りなし、パン粉なし!混ぜる~焼くまでフライパンひとつ」だけを先に考えていて、最初に作ったハンバーグがちょっと汁気のないハンバーグだったんです。 小竹:うんうん。 長谷川:それを夫に食べてもらったら、「あかりちゃんはハンバーグのハンバーグである要因は何だと思う?」って聞かれて、「肉々しさかな」と答えたら「僕もそう思う」と。 小竹:すごい質問ですね。 長谷川:「僕はハンバーグとつくねの違いは汁気だと思う」って言うんです。「これは汁気がないからつくねに感じちゃう」と。「ハンバーグの要因を満たしていなくて期待を下回っちゃうから、もう少し汁気があったほうがいいと思う」と言われて酒蒸しになったんです。 小竹:この表紙のハンバーグはご主人との合作なのですね。ご主人もお料理をされるのですか? 長谷川:料理は全くしないから、逆に言いたい放題言えるというか。料理をする私からしたらわけのわからないことも言えちゃうから、それが逆に良くて。「ここにこれを入れてみたら?」とか突飛なことも言う。そんな料理は見たことないと一瞬思うけど、見たことないから面白いかもって。 小竹:なるほど。 長谷川:できるできないとか、変か変じゃないかとかの境目が全くない状態で、素直に味だけの状態で意見をくれるので、すごく助かっていますね。