「料理は努力したものがそのまま形になる」長谷川あかりさんがタレントを辞め、料理家になった理由
努力が形になる“料理”に魅力を感じた
小竹:『天才てれびくん』のてれび戦士から料理家になるには何かきっかけがあったのですか? 長谷川:芸能活動をやめた理由として、天てれを卒業した後にオーディションに受からなくてしんどい時期があって、とにかく正解の無さが辛かったんです。 小竹:うんうん。 長谷川:当たり前ですけど、オーディションを受けても努力をしたことが努力した通りに結果になることはまずなくて。何を頑張ればいいのか、何が正解なのかが本当にわからない状態で受かる受からないをジャッジされてしまう。 小竹:そうですね。 長谷川:そういう世界でずっとやっていると、正解があるというか、真面目に努力したものがそのまま形になるということにすごく魅力を感じるようになって、私にとってはそれが料理でした。 小竹:どういった部分が? 長谷川:レシピ通りに1個1個手順をちゃんと踏んでいくだけで、すごくおいしい料理が目の前に完成するという快感がたまらないと思って。 小竹:そこですよね! 長谷川:何を努力すれば自分が評価されるのかがわからないという悩みが、料理によってスパッと解決されたんです。頑張る道筋が書いてある、答えが書いてある状態で、その通りに頑張ればおいしいものが出来上がるって、こんなにいいことはないと感じました。 小竹:私も大好きなのですが、non-noの『お料理基本大百科』が好きだそうですね? 長谷川:もともと母が結婚したときに買った本で、ずっと実家に置いてあったんです。子どもの頃からパラパラめくってはいたのですが、実際に読み込み始めたのは料理家になってからですね。 小竹:じゃあ最初に料理に目覚めたときは違う本で作っていたのですか? 長谷川:レシピ本を買ったり読んだりすることが好きだったので、とにかく本屋さんに行きまくって「これ作りたい」とグッときた料理本を買って、片っ端から作っていくみたいなことをやっていました。 小竹:それはご家族に振る舞っていたのですか? 長谷川:家族に食べてもらっていました。ただ、作りたいものが多すぎて胃袋がだんだん足りなくなってくる。そうすると胃袋大募集みたいな発想になってきて、高校の友達に料理を配りまくったりしていましたね。 小竹:学校に持って行って? 長谷川:学校にも持って行っていましたし、休みの日に作りにも行っていましたし、食べたいと言われたらどこにでも運んでいました。 小竹:みんなすごく喜んでいますね、それ。 長谷川:すごく喜んでいましたね。でも、私からしたら行き先のない料理を作ることほど苦しいことはないので、食べてくれてありがとうみたいな感じでした。 小竹:料理は誰も嫌がらないですもんね。 長谷川:そうなんですよ。だから、どうしたら評価されるのかがわからなくて悩んでいた人間にとっては、手順通りに作っていくだけでこんなに喜んでもらえる世界があるのがうれしくて。