【Q&A】火山で注目「コンゴ民主共和国」ってどんな国?
Q:国の人口規模はどの程度でしょうか?
2020年の人口は9000万人から1億人と推計されています。首都キンシャサの人口は約1400万人(東京都とほぼ同規模)に上ります。 人口規模は大きいのですが、世界食糧計画(WFP)によれば、21年7月現在その4分の1を超える2730万人の人々が深刻な食糧不足に直面しています。紛争や治安の悪化、火山の噴火などにより500万人を超える人々が故郷を追われて生活している実態もあります。
Q:主な産業は何でしょうか?
鉱物資源が豊富にあります。例えば、スマートフォンを作るのに欠かせないタンタルや、金や銅、ダイヤモンドなど非常に多くの鉱物があります。電気自動車用のリチウムイオン電池を作るために不可欠なコバルトに関しては、世界の埋蔵量の半分以上を占めています。 しかし、1997年まで30年以上続いたモブツ独裁政権下、そしてルワンダの後押しを受けてモブツ政権を追いやったカビラ親子の政権(父親の暗殺を受け、息子が継承)の時代には汚職や、近隣国を巻き込んだ権益をめぐる紛争が続きました。この状況は2019年に政権交代し、現在のチセケディ氏が大統領に就任しても解決していません。
Q:人々の暮らしはどうなっているのでしょうか?
資源で得られたはずの利益が入らず、その他の産業も発展していないため、国家予算は非常に少なく、世界の最貧国の1つという状態がずっと続いています。 また、ルワンダ、ウガンダなどと接する東部ではいまでも武装勢力が多く活動しており、年間3000人弱が犠牲になるなど非常に深刻な状態です。紛争と虐殺だけでなく、性暴力も非常に多く、「レイプ・キャピタル・オブ・ザ・ワールド」という不名誉な呼び方をされたことすらあります。 性暴力被害者を支援する活動を続け、ノーベル平和賞を受賞した産婦人科医デニ・ムクウェゲ氏が活動の拠点とするのもこの東部の南キヴ州です。
Q:多種多様な民族集団がいると聞きました。
コンゴ民主共和国は極めて広大な国土と多様な自然環境を持ち、コンゴ川が国中を網目や迷路のように流れている国です。言語の数(≒民族の数)も主要な4言語(リンガラ語、キコンゴ語、チルバ語、スワヒリ語)を始め200とも400超とも言われています。 民族集団はそれぞれに固有の音楽やダンス、仮面や彫像などの工芸品、生活や儀式の習慣と道具があり、首都の国立博物館には4万5000点の収蔵品があります。州知事や郡長などの行政の長とは別に地元の民族集団の伝統的な首長が各地におり、憲法で地位を保証され上院議会に議席があります。地方の村で仕事をする時には必ず伝統的な首長に贈り物をして挨拶し了解を得なくてはいけません。 ちなみに、首都キンシャサから道路だけで辿り着ける州の州都は(全26州のうち)5つしかありません。延べ2800キロくらいに及ぶコンゴ川の河川交通や、飛行機などを使わないと国内移動でも苦労します。