「きな臭い」だけじゃない 「イラン」ってどんな国?
米軍がイランの司令官を殺害した報復として、イラン側がイラク国内の米軍基地を攻撃しました。なにかと「きな臭い」ニュースで登場することが多いイランですが、ペルシャ時代の世界遺産があるなど普段抱きがちなイメージとは異なる側面もあります。色々な角度からイランを見てみましょう。
イランの正式名称は「イラン・イスラム共和国」です。イスラム国家ですが、イスラム教の中では少数派であるシーア派が大半を占める国として知られています。人口は約8000万人、面積は日本の約4.4倍ある中東地域の大国です。
西側はイラク、東側はアフガニスタン、パキスタンなどと接しています。南はペルシャ湾、オマーン湾に面しており、それらを隔ててサウジアラビア、オマーン、アラブ首長国連邦(UAE)、カタールなどの国があります。中東と聞くと「砂漠」の印象がありますが、首都テヘランは緑が多い都市です。
遡(さかのぼ)ると「ペルシャ」
外務省によると、イランのある地域は紀元前540年にアケメネス朝ペルシャが成立し、紀元3~7世紀にはササン朝ペルシャの時代もありました。イスラム教の預言者としてムハンマドが登場するのは紀元7世紀前半のことで、この時代のイランはイスラム教国家ではありません。ササン朝ペルシャ時代はゾロアスター教の地域でした。 ペルシャ時代の宮殿や建造物はいまだ多く存在します。世界文化遺産に登録されているものも複数あり、観光スポットになっています。写真をご覧ください。アケメネス朝時代の紀元前518年に当時の首都・ペルセポリスに建てられた神殿跡です。UNESCOによると当時の王の命によって建てられたもので、メソポタミア文明の影響を受けているとされています。
紀元前6世紀以降に造られた「ペルシャ式庭園」も世界遺産に登録されています。国内の9つの庭園が含まれます。ペルシャ式庭園は「楽園」を体現したものとされており、各所に水路が張り巡らされていることなどが特徴です。