世界幸福度ランキング1位・フィンランドの高校生は「人生観」を学んでいる。セレンディピティの概念や不公平への視点…人生を切り拓く教育とは
国連持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)が2024年に公表した「世界幸福度レポート」によると、フィンランドの幸福度は1位で、首位は今回で7年連続だそう。フィンランド・ヘルシンキ大学非常勤教授の岩竹美加子さんいわく、「フィンランドの学校には、自分の人生観を育むための知識と教養を得る『人生観の知識の授業』がある」とのこと。そこで今回は、岩竹さんの著書『フィンランドの高校生が学んでいる人生を変える教養』から、一部を抜粋してご紹介します。 【書影】自分だけの答えを探す独自の授業から、幸せに生きるヒントを探る。岩竹美加子『フィンランドの高校生が学んでいる人生を変える教養』 * * * * * * * ◆人生は偶然にも左右される 「運の良さによって成功する職業もある。投資家やネットのプロポーカー・プレイヤーは、能力に加え幸運を信じる。しかし、運は去ることがある。勝利したプレイヤーは、次には慎重になり、大きなリスクを避けるかもしれない」 トピックは自分の選択ではなく、幸運と偶然に移る。例になるのは、投資家やプロポーカー・プレイヤーだ。それは、より幅広い職業の選択を示そうとするものであるだろう。 「人生観の知識」で、選択は実存主義の立場から重要なのだが、人生は意志的な選択の連続のみなのではない。 思いがけない幸運や偶然によっても大きく変わることがあるのは、多くの人が実際に体験していることではないだろうか。 続いて、セレンディピティという概念が紹介される。 「セレンディピティは、偶然の幸運を表す概念で、ホレース・ウォルポールが言及した古いペルシャの物語に由来している。ペルシャの3人の王子が、意識して探していたわけではなかったが、正しい時に正しい場所にいたことで気づいたことが、後になって非常に有益なことがわかるという物語だ。柔軟さやオープンであることを説く概念でもある」 ウォルポールは、イギリスの作家。 偶然の幸運が大きな意味を持つことがあって、それは科学的な発見や発明などももたらしてきたという。意識的な選択や追求によってではなく、何かに到達することを示すものだ。
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