世界幸福度ランキング1位・フィンランドの高校生は「人生観」を学んでいる。セレンディピティの概念や不公平への視点…人生を切り拓く教育とは
◆力強く励ます言葉たち さらに、以前は魔術師、現在はイギリス、ハートフォードシャー大学の心理学教授リチャード・ワイズマンの考えが紹介される。 「幸福な人は可能性に気づき、それを呼び寄せて実現する。リラックスして幸運を信じる。上手くいかなくても良い方向に持っていく。諦めず希望を持つ。直感を信じる。計画を柔軟に変える。失敗を恐れず悲しまないスキルは学べる。 それによって人生で起きたことを肯定的に解釈し、全ての経験は最終的に良かったと説明できるようになる。勉学の場や仕事を失うことは、もっと面白くて新しい可能性を開くこともある。頑張り、自分の将来を信じることは良い」 若い人は、見知らぬ将来に対して不安や不確かさを感じやすい。また、うまくいかなかったことに落胆したり、些細なことに傷ついたりして希望を失ってしまうこともある。ここでは、力強く高校生を励ましているのが印象的だ。 「キャロル・ドゥエックの研究によると、才能を褒めるのではなく、行動すること、試みること、諦めずに続けることを褒めることが若い人の成長を力づけ、失敗することへの恐れをなくすという。才能を発展するスキルとして捉える人は、失敗も肯定的に受け止め、失敗からも学び、将来をより肯定的に受け止める傾向がある。一方、才能を永続的な特質と見る人は、実際の行為を矮小化したり、成功者を妬んだりする傾向がある」 ドゥエックは、アメリカ・スタンフォード大学の心理学の教授である。才能を「永続的な特質と見る」のは本質主義である。本質主義ではなく、行動し試みて諦めずに続けることを勧め、高校生に対するポジティブなメッセージになっている。 「死の床で大事なことをしなかったこと、何かに挑戦しなかったことを後悔することがある。恥をかくことや失敗を恐れて、自分の人生を生きなかった。しかし、誰にも小さな失敗はあり、逆風にも遭う。それが人生だ。ストア派のセネカから、困難な状況にあっても自分の態度で生き、影響できることを学べる。古典ギリシャの哲学者たちは、外面的な成功や人気に頼らない生き方を重んじた」 ここでは、紀元前後のギリシャに飛び、哲学者セネカの考えを紹介している。恐れに立ちすくんだり、外面的な成功や人気に惑わされることなく、自分の人生を悔いなく生きていきなさいというメッセージを様々に伝えていて、胸を打たれる。
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