【経済予測の達人】ニトリHD・似鳥昭雄会長が読み解く2025年の経済 為替は「1ドル145円前後まで円高が進む」、日本企業は「大手が中小を呑み込む」淘汰と再編の時代へ
2025年は米国でトランプ氏が大統領に再登板し、日本経済にとっても激動の1年となりそうだ。不確実性が増すなか、今年の株価や為替はどう動くのか。そして、日本経済が成長を続けるには何が必要なのか。“経済予測の達人”として知られるニトリホールディングス(HD)代表取締役会長の似鳥昭雄氏(80)に聞いた。 【写真】ニトリ創業時の社屋。30坪の小さな店から始まった
1ドル145円前後に
〈過去に幾度も経済予測を的中させてきたニトリHDのカリスマ創業者・似鳥昭雄会長。昨年は7月に日経平均が史上最高値を更新する4万2000円台に達するも、8月には1日で4000円以上の大暴落も起きた。ドル円相場も1月の140円台から7月には一時、161円台まで円安が進むなど、激しい値動きとなった。今年はどうなると見るのか。〉 我が社は商品の約9割を海外で生産して輸入しており、ドル円相場が1円円安になると利益が年20億円のマイナスになる。だから、為替動向を見通すことは非常に重要です。2024年は11月までの平均で1ドル152円でした。 それが今年は1ドル145円前後になるのではないでしょうか。 まず見るべきは日米の金利差です。昨年12月に米FRB(連邦準備制度理事会)は0.25%の利下げを決めて政策金利は4.5%に。日銀は12月の利上げを見送り、政策金利0.25%のまま。この1年で金利差は1.25%以上縮小しましたが、まだ乖離があります。今年はさらに縮小し、夏には1ドル145円前後まで円高が進む可能性もあると思います。 それにしても、日銀の利上げの判断は慎重すぎて遅いと感じます。判断が遅れるから、日経平均が乱高下を繰り返すような大きな副作用が出てしまうと思うんです。 今年の日経平均も、1月もしくは3月に予想される利上げのタイミングの遅さなどで3万6000円くらいまで下がる時があると思いますが、年後半には4万1000円に達すると見ています。基本的には、世界経済も日本経済も堅調に推移するでしょう。 世界経済を牽引する米国の2024年第3四半期のGDPは前期比2.8%増と手堅く、直近(2024年11月)の失業率も4.2%とまずまずの数字。 日本も、消費者物価指数(2024年10月)が前年比プラス2.3%と、長く続いたデフレを脱却する兆しが見えます。景気回復には賃金アップも欠かせませんが、ずっとマイナスだった実質賃金が昨秋、前年比0%になりました。失業率が2.5%と低いのも良い傾向です。