【迷惑行為?アーティストとしての表現?境界線はどこに⋯?】遂にアイドルも摘発「無許可の路上ライブ」は「グレーな文化」として容認すべきなのか
音源も使わず、マイクもアンプも自己紹介のボードもない。取り立てて通行の邪魔にもなっていない。ただ、そこで歌声を披露している。 これも立派な路上ライブである。 はたして印象はどうだろうか? もちろん不快だという人もいると思うが、大半は黙認し素通りするのではないだろうか。仮に通報されても歌うのをやめれば事なきを得るだろう。 つまり、迷惑行為とみなされない限りは、路上ライブは「グレーな行為」であるということである。
■「アーティストの技量」により変わる「迷惑度」の印象 そして、あまり言及されないが、迷惑かどうか判断される基準のひとつに「アーティストの技量」もある。 先ほどのたとえで言えば、かなり音程の外れた歌声だったらどうだろうか。聴くに堪えない状況。逆にこちらは迷惑行為と受け取られる可能性が高い。 テレビ番組の企画ではないが、逆にこの歌い手がプロの歌手。変装した有名アーティストだとする。 駅前の広場に響き渡るのは超一流の歌声と聞いたことのある名曲。迷惑どころか、かなりの確率で許容されるのではないだろうか。
ただし、人だかりができれば当然、通行の妨げになるのでこれは迷惑行為となるであろう。極端なたとえではあったが、アーティストの技量も影響していると言えるだろう。 路上ライブには法的に罰せられるような迷惑行為とならないように行うという明らかなルールはもちろん、それ以外のアーティストも守るべき、最低限の暗黙のルールが存在する。 それらは路上ライブの盛んな地域では情報がアーティスト同士やファン同士で共有され、守られ秩序が保たれてきたという側面もある。
たとえば、路上ライブが盛んな場所では「この場所はNG」といった情報がアーティストやファン同士で共有される。音量もこの程度なら大丈夫といったこともそうだ。 過去に注意や摘発された場所、揉め事が起きたなど理由はさまざまだが、路上ライブが行われてきた歴史の中で生まれた暗黙のルールがある。 だが、コロナ禍で外出が控えられる中で、一時的に路上ライブが途絶えた。 そしてコロナ禍が明け、新しく路上ライブを行うものが増え、それらの暗黙のルールがリセットされるなかで、ルールから逸脱した、ただの「迷惑行為」を行うアーティストが増えているのが現状ではないだろうか。