智弁和歌山”紀州の剛腕”小林樹斗が149キロをマーク…7球団スカウト集結「ドラフト2巡目までに消える」
冬場は走り込みとウエートトレで下半身を強化。プロテインと牛乳を摂り、体重維持にも努めてきた。新型コロナウイルス感染拡大の中、実戦形式の練習からは遠ざかったが、下半身強化を継続したことで球威が増した。 持ち球は、直球にカーブ、スライダー、ツーシーム、チェンジアップ、スプリットと豊富だ。さらに、6月末の中京大中京との練習試合で同じくドラフト上位候補の高橋宏斗投手(3年)から、カットボールの握りなどをアドバイスされ、すぐさま身につけた。そういう対応能力も高い。 「カウントも取れたし、ファウルも取れた」 この日は、そのカットボールも効果的に使い、持ち球のひとつとして手応えをつかんだ。最も警戒した打者の1人という市立和歌山のスラッガーの松川虎生捕手(2年)には初球からスプリットで入り、空振りを奪うなど、柔軟性も見せた。 しかし、どんな投手にとっても投球は繊細なものだ。9回はより緩急をつけようと試したカーブがスッポ抜け、ここからリズムを崩した。初回に3ランを放っている相手の4番打者にストレートの四球を与えると連打で1点を許し、なお無死一、二塁のピンチ。その後は相手の拙攻と味方守備陣のポジショニングの良さもあって難を逃れたが、本人も反省を忘れなかった。 「カーブが思った以上に悪くて、そこから引っかけるような投球になった。きょうは全体的にバットに当てられ、空振りが取れなかった。相手打線はしぶとかったが、このあたりは次への課題です」 かつて阪神、楽天、巨人でプレーした中谷仁監督(41)も序盤のヤマを突破し、ホッとした表情。「小林は最後、いままで見せたことがないような投球でしたが、うちの大黒柱としてがんばってくれている」と信頼は揺るがない。 この日の対決は、2018年春から19年春まで実に4季連続で和歌山大会決勝で激突した宿命のライバル対決だった。昨春のセンバツには、和歌山から智弁和歌山と市立和歌山の2校が選ばれ、市立和歌山もベスト8入りを果たしている。しかも、正捕手の松川に加え2年生の小園健太投手はMAX152キロを誇る大型右腕で、バッテリーが揃って2021年のドラフト候補。この日も2回から2番手として登板すると不運な当たりもあって4回3安打1失点ながらMAXは144キロをマークした。 試合を見守った智弁和歌山の高嶋仁・前監督(74)も「小園君をもっと投げさせていたらどうなっていたか分からん試合。市高は追加点が取れなかったのが痛かったね。打たせて取る矢田(真那斗)をとらえ切れなかった。今後の対戦が楽しみ」と話していたほどだ。