「大都市優遇、地方切り捨てだ!」国を訴えた“現職の裁判官”が語る「公務員の地域手当の改定」深刻すぎる問題点
3年目の「異動保障」が新たに支給されることになったが…
また、【図表2】は、改定により級外地とされた都道府県・区域をまとめたものである(赤は改定前の支給地)。 他方で、異動前の給与の額が保障される「異動保障」の制度に改定が加えられた。これまでは異動1年目は100%、2年目は80%、3年目以降がゼロとなっていたが、新たに3年目に60%が支給されることになった。
「事態はまったく解決されていない」
今回の人事院勧告の結果について、竹内判事は、とくに東京と自身が勤務する東海地方との格差にスポットを当て、具体的な数値を示しながら指摘した。 竹内判事:「国が、最大20%の格差をどうしても維持したがっていることがよく分かった。 東京都内は東京23区が1級地で20%、それ以外はすべて2級地で16%となっている。 全体としてみると、東京都を20%または16%と高く維持しながら、他の地方が割を食っている。地域手当というより『東京都手当』『都会手当』という性格がはっきりしてきたのではないか」 竹内判事の現在の勤務地である東海三県(愛知県・岐阜県・三重県)においても「地域手当の格差」が顕著に実感されるという。 竹内判事:「まず愛知県は原則8%にされたことにより、西尾市・知多市・みよし市(現10%)は8%に下がってしまった。名古屋市・豊明市(現15%)は12%、刈谷市・豊田市(現16%)は12%に下がった。 岐阜県にいたっては原則0%になったので、大垣市ほか5市(現3%)はゼロになってしまった。岐阜市(現6%)は4%に下げられた。 三重県は原則4%になったため、私が勤務する津市(現6%)は4%に下げられた。また四日市市(現12%)や鈴鹿市(現10%)も8%に下げられた。 『切り捨て』の方向で操作されているように見える。大雑把に、『15%だった地域を12%に、10%だった地域を8%に、6%だった地域を4%に、3%だった地域を0%にしよう』という傾向がはっきり見てとれる。 裁判官の地方への転勤に伴って地域手当の率が大幅に下げられ、事実上の減俸になってしまうという実態はまったく解決されていない。 たとえば東京都から三重県に転勤すると、給与の下げ幅はこれまで以上になる。東京23区と比べると格差が拡大した。これを減俸と呼ばずして何というべきか。納得感が非常に低い改定だ」
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