東京五輪で金メダルを狙う男子400mリレーに桐生とサニブラウンは必要か…最強布陣を探る
4人のメンバー入りに向けて他の候補選手にもチャンスは十分にある。日本選手権の100mと200mで2位に入ったデーデー・ブルーノ(東海大)は大学でも日本代表が採用している「アンダーハンドパス」を経験しており、バトンワークの不安も少ない。「大学では2走や4走をやっているので直線区間を走りたいですね。気持ちでは負けないようにしたいです」とレギュラー争いに向けて燃えている。 それから200m代表内定のサニブラウン、山下潤(ANA)、飯塚翔太(ミズノ)の3人もいる。現状ではリザーブ候補となるが、レギュラー陣に何かあった場合でも対応できるように準備を進めていくことになる。なかでも気になるのがサニブラウンだろう。今回の合宿には参加しておらず、所属先のコーチがいる欧州でトレーニングをしているという。 日本選手権を見る限り、サニブラウンの状態はあまり良くない。前100m日本記録保持者は本番までにどこまで仕上げてくるのか。ドーハ世界選手権でアンカーを経験しているとはいえ、バトン練習も十分ではない。起用できるとしてもアンカー限定になるだろう。バトン練習が少ないリスクを考えると、200mでメダル争いできるくらいの状態まで上がってこなければ、起用する意味はないように思う。 なお男子スプリント種目は100mが最初で、7月31日の夜に予選、8月1日の夜に準決勝と決勝。200mは3日の午前に予選、夜に準決勝、4日の夜に決勝が行われる。4×100mリレーは5日の昼に予選、6日の夜に決勝というスケジュールだ。100mの選手は個人種目が終わった後、リレーの予選までは十分に時間がある。一方、200mの選手は決勝まで行くと、スケジュール的に厳しい。肉体的なダメージと準備期間を考えると、今回は100mの3人(多田、山縣、小池)とリレー要員(桐生、デーデー)の5人のなかでメンバーを組むのがいいだろう。 最後にオンライン会見で土江コーチが話した言葉を紹介しておきたい。 「選手の状況もありますし、特徴もあります。それぞれ適材適所、キャラクターに合った場所で走順を組みたいですね。リオ五輪のときと違って、どの選手も様々な走順ができますし、経験もある。しかも5人以上のなかから状態の良い選手を選ぶことができる。オーダーを決めるのがいい意味で悩ましいです。流れやムードがあるので、個人種目でファイナルに残る選手を複数だして、いいかたちでリレーを迎えたい。様々な可能性があるので、本番のときにベストの4人になるような準備をしていきたいです」 16日までの合宿のなかでリレーはタイムトライアルを実施する予定。あなたならどんなオーダーを組むだろうか? 男子4×100m決勝のある8月6日まで、多くの方に4継ネタで盛り上がっていただきたい。(文責・酒井政人/スポーツライター)