なぜケンブリッジ飛鳥は敗退したのか…好調は山縣、多田の2人…今日の決勝で“激戦”男子100m代表3枠を奪うのは誰だ?
予選と準決勝の走りを見ると、山縣がV候補の筆頭になりそうだ。レースを終えて、「結構疲労が出たな」という印象を持ったという山縣だが、予選は上体を上げるのが早くなってしまったため、準決勝はスタート時の身体の角度を修正。見事、トップタイムで通過した。決勝では、「自分の走りを崩さないように、自分の走りを貫くこと」を意識して、3年ぶり3回目の優勝を目指す。 準決勝では多田の走りも素晴らしかった。予選は試合前のスタート練習で脚がつりそうになるというトラブルがありながら、しっかりと立て直した。「準決勝は理想通りの走りができて、余力を持って決勝に進むことができました。調子自体も上向き傾向で、布勢よりもいい感じで来ています」と多田。山縣が9秒95の日本新記録を打ち立てた布勢スプリント決勝でも多田は序盤で山縣からリードを奪い、10秒01の自己ベストをマークしている。日本選手権決勝の舞台でも得意のスタートダッシュを決めて、ライバルたちにプレッシャーをかけることができるはずだ。 山縣と多田は外す心配が少なく、現状では山縣が1位、多田が2位の候補になると見ていいだろう。この2人に割って入る可能性があるのが桐生だ。予選では10秒12(-0.4)のトップタイムをマークしており、「予選、準決勝と思い通りのレースプランができた」と語っている。しかし、“爆弾”を抱えており、右アキレス腱が「歩いていても痛い」状態だというのだ。 「明日は1本なので今日よりは思い切っていけるかなと思います。痛いとは言っていられないので、1本に集中してタイムを上げて、優勝を狙いたいと思います」と桐生は戦う覚悟を決めている。 追いかける立場になるのが小池とサニブラウンだ。今季ベストは小池が10秒13で、サニブラウンは予選でマークした10秒29。山縣(9秒95)と多田(10秒01)に大きく離されており、大逆転するのは簡単ではない。現実的には「3位狙い」のレースになるのではないだろうか。ともに100mは後半型のタイプだけに、終盤どこまで前を追えるのか。具体的には桐生の背中がターゲットになるだろう。