なぜケンブリッジ飛鳥は敗退したのか…好調は山縣、多田の2人…今日の決勝で“激戦”男子100m代表3枠を奪うのは誰だ?
予選から準決勝にかけてしっかり修正できたという小池は、「決勝ではもっといいレースができるかなという手ごたえがあります」と話している。決勝では、「視界を狭めて、まっすぐ前だけを見て走りたい」とライバルたちを気にするのではなく、自分の走りに集中するかたちで勝負に出る。 サニブラウンは新型コロナウイルスの影響もあり、2019年秋のドーハ世界選手権を最後にレースには出場せず、活動拠点の米国でトレーニングを重ねてきた。今季は約1年8カ月ぶりのレースとなった5月末の競技会で100mを1本走っただけで、6月7日に帰国。千葉県内の施設でトレーニングを続け日本選手権に合わせてきた。大会前は、「なんせ全然レースを走っていないんで。まあ、走ってみなきゃわかんないですね」と話していたが、動き自体は悪くなかったように思う。 準決勝は3着に終わったものの、課題にしているスタートはスムーズだった。しかし、20m付近でふくらはぎがつった状態になったため、思うようにスピードが上がらなかったという。それでも決勝進出を決めて、安堵の表情を浮かべていた。 「気温が高かったので、疲労がたまったのかもしれませんね。運が悪いのか良いのかわからないけど、1日あるので、万全な状態で100m1本を全力でいけるような準備をしていきたい。誰も注目していないと思うので、優勝をかっさらって帰ろうかなと思っています」 少し肉体を絞り切れていない印象のサニブラウンだが、そのポテンシャルは世界が認めるほど。彼の存在自体がレースに大きな影響を与えるかもしれない。 山縣、桐生、サニブラウンが勝てば3回目の優勝で、多田か小池が勝てば初優勝になる。今回は東京五輪の最終トライアル。「日本一」を奪うことよりも、確実に「3位以内」を確保したいというのが本音になるだろう。 24日は晴れて西北西の風だったが、今日25日は曇り時々雨で西南西の風になる予報が出ている。前日よりも向かい風になる可能性が高いが、どんな“風”が吹き込むのか。それぞれが持ち味を発揮できれば、史上最高の決戦になるのは間違いない。日本選手権初の9秒台決着はあるのか。東京五輪をめぐる「3/5」の戦い。スプリンターたちの意地が劇的なドラマを生む。(文責・酒井政人/スポーツライター)