GROUP「島をつくる | Planning Another Island」(マイナビアートスクエア)開幕レポート。高層ビルのなかで建築をコンポストする
建築コレクティヴ・GROUPによる展覧会「島をつくる | Planning Another Island」が東京・銀座のマイナビアートスクエアで開幕した。会期は7月6日まで。 GROUPは建築プロジェクトを通して、異なる専門性をもつメンバーが仮設的かつ継続的に活動を行う建築コレクティヴ。建築設計・リサーチ・施工などで幅広く活動している。 本展は、東京・成増にある住宅を解体し、その廃材を土へと還す「コンポスト」をテーマにしたものだ。メンバーが廃材を解体するという行為そのものが展示の構成物となっている。 本展の会場となっているマイナビアートスクエアは高層ビルである「歌舞伎座タワー」の22階に位置し、その窓からは東京湾が見える。この東京湾には「中央防波堤外側埋立処分場」や「新海面処分場」といった埋立中のゴミの最終処分場が存在する。解体された建築の廃材は、様々な過程を経て最終的にこの処分場に行き着き、湾内に島を生成することとなる。本展のタイトルとなっている「島をつくる」とは「建築という行為そのものを表現している」とGROUPの井上岳は語る。建物を建てるという行為は、その建物が将来的に解体され廃材となり、そして東京湾の島となる、ということまでが含まれているわけだ。 本展においてGROUPは、成増にあった住宅の廃材をビル内部にあるマイナビアートスクエアに持ち込み、ここで手作業によりコンポストして土に戻す作業を行っている。 会場中心部には2本の「最終処分場柱」が立てられ、そこに廃材をコンポストすることで生まれた土が島のように堆積している。島の周囲には、廃材を分別して溜めておく場のほか、コンポスト作業のための工具や、ガラスや木材を破砕するための作業場が設けられており、実際の作業環境が整えられた。会期中にはこの場所でGROUPのメンバーの誰かがコンポスト作業を続けることになっており、展示室中央の島は拡大を続ける。 本会場で土に戻された廃材は、再び成増の住宅を解体した土地に戻される予定だ。その土地で、新たなアートプロジェクトの立ち上げが予定されているという。 東京のあらゆる場所で再開発が進むが、それらの建築もまた半世紀もすれば再び解体され最終処分場へと送られることになる。このように建築という行為がつねに解体や廃棄といった行為と裏表のように結びついていることを改めて提示し、訪れるものの思考に新たな視点を加える展覧会といえるだろう。
文・撮影=安原真広(ウェブ版「美術手帖」副編集長)