「ガキは置いてけ!」地元に帰って元ヤンと結婚した40代看護師が地獄から恐怖を逃れるまで
「価値観の差で浮気につながることはあります。『不適切にもほどがある!』で描かれた昭和の価値観、特に男女差別が残るエリアも多いです。実際の人間は、ドラマの登場人物たちのように柔軟に対応することは滅多にない。暴力がまかり通り、女性が差別され、不利益を被っているケースは多々あります」と語るのは、探偵の山村佳子さん。横浜のリッツ探偵事務所の代表だ。 【マンガを読む】専業主婦の母が「手に職をつけなさい」と語った切実な理由 2024年「現代用語の基礎知識選 2024ユーキャン新語・流行語大賞」に輝いたのはこの『不適切にもほどがある!』を略した「ふてほど」。このドラマは昭和と令和の価値観の違いをシニカルにユーモラスに伝え、「コンプライアンス」に縛られたるよりも大切なのは互いの尊重だということも、昭和もいいところも多く感じさせられた。ただ、やはり「男女平等」の観点では、昭和はやはり「男たるもの」「女たるもの」の呪縛が多かったのは間違いがない。 2024年4月に「人口戦略会議」が発表した推計では、2050年までに若年女性の人口が半数以下になる自治体は、全国744に上るとされるという。しかもそうした地域では人口が急減し、最終的に消滅する可能性があると発表されたのだ。そこには女性たちが居づらいというジェンダーギャップが大きく影響しているのではないだろうか。 今回山村さんのところに相談に来た44歳の看護師・由紀代さん(仮名)はまさに「地方の昭和的価値観」に苦しんでいた。 前編「「地元のヤンキーとデキ婚して地獄なんです」40代の母が衝撃受けた”昭和の価値観”」で詳細を伝えたように、東京に暮らしていた由紀代さんは、同窓会で中学の同級生と再会して妊娠し、地元に帰って結婚、3歳の息子がいる。しかし「男らしい」と感じたそれは「女は家事育児と性行為だけしてろ」という価値観だった。夫の浮気にも「男の浮気は妻のせい」とされてしまうという。しかも浮気相手は既婚者で、その夫はけんかっ早いことでも有名な暴力男。このままでは息子にも危害が及びかねないと、離婚の証拠を取りたいのだという。