「今日、ご主人様は会社にイッテナイ」海外駐在生活、ドライバー付きの夢ライフに不穏な兆候...妻が気づいた夫の異変
作家・ライターとして「現代のカップルが抱える問題」について取材をしてきた佐野倫子。人間関係が複雑化する現代において、男女間の問題もまたしかり。それぞれのケースを検証してみましょう。 今回お話を伺うのは、夫の海外赴任に帯同した妻の幸子さん。「夢の駐妻ライフ」と思いきや、現実はそううまくいかないようです。 詳しく伺ってみましょう。 取材者プロフィール 幸子さん(仮名):36歳、子どもは2人。夫の海外駐在に帯同。結婚前はキャビンアテンダントとして勤務。 洋治さん(仮名):40歳、会社員。念願かなって海外駐在の異動。
駐妻生活は一筋縄ではいかない
「夫の海外駐在辞令がでたとき、家族一同大喜びしたのを昨日のことのように思い出します。娘たちは小学生で、海外で暮らすには受験もなくちょうどいいタイミング。私も会社は辞めて子育て中心の生活にシフト中、パートで働いていましたから、憧れの駐在生活は願ったりかなったり。何より夫が、激務に耐えながら長い間希望していた駐在なので、妻としてそれも嬉しかったですね。ああ報われたんだという気持ちでした」 ターミナル駅のビルにあるカフェで、幸子さんは楽しそうに辞令が出た当時のことを語ってくれました。身だしなみやしぐさが洗練されていて、清潔感あふれる雰囲気。伺うと、やはり結婚前はキャビンアテンダントとして働いていたといいます。 それでいて飾らず親しみやすい雰囲気があり、素敵な方だなという印象です。 しかしその「親しみやすさ」がおかしな風に誤解されることもあり、駐在生活はさまざまな波乱があったといいます。
念願の海外駐在生活スタート
辞令の1ヵ月後、まずは単身、東南アジアのとある大都市に出発した夫の洋治さん。幸子さんとお子さん2人は転校や家を賃貸に出す準備をすすめ、その間に洋治さんが家族で住みやすいエリアや学校に目途をつける計画でした。 「駐在員の世界はすごく狭いので、だいぶ前の話ですが、念のために都市名は伏せていただけますか?」と幸子さん。日本人駐在員がたくさんいる街をイメージして聞き取りを続けます。
佐野 倫子