大腸がん人口が少ない町を発見!超善玉菌を増やす《がんに勝つ腸活》ごはん
いまは2人に1人ががんになる時代、日本人の死因1位もがんだ。がんで死なないことが健康長寿への一番の近道だといえるだろう。 【写真】超善玉菌を増やす腸活レシピ「長いもとごぼうの梅ごまマリネ」
腸内環境とがんが関係していた
「たくさんの種類があるがんの中でも、日本人女性の命を一番奪っているのは大腸がんです。罹患(りかん)した人の数でいえば乳がんが最多ですが、死亡者数でいうと大腸がんが第1位です」 と教えてくれたのは、消化器専門医の京都府立医科大学教授の内藤裕二先生だ。 乳がんよりも進行した段階で見つかることが多く、やっかいな大腸がん。1年間で新たに診断される人は約16万人で、年々増えている。 大腸がんが増えている原因のひとつは、食生活の欧米化だ。牛肉や豚肉、また、ハムやソーセージ、ベーコンといった加工肉が食卓に上る頻度が増え、豆類や根菜、海藻といった食物繊維が豊富な食材を食べる回数が減っていることが増加の一因だ。 「また、肥満やアルコールのとりすぎ、運動不足や喫煙なども大腸がんの発症に関わっている可能性が高いとされています」(内藤先生、以下同) そんな中、新たに注目されているのが、腸や口の中にいる悪玉菌と大腸がんとの関係。大腸がんの人はフソバクテリウムという悪玉菌が多いことがわかったのだ。 「フソバクテリウムというのは口腔内や腸内にいる細菌で、口の中だと歯周病を引き起こす細菌のひとつです。大腸がん患者のがん組織や便からもこの菌が検出されたと海外から報告があり、いま各国の研究者が大腸がんとこの菌の関係を調べています」 最新研究によって、この細菌が大腸がんを悪化させている可能性が高いことが判明したのだ。悪玉菌といえば、便秘や肥満、免疫力低下の犯人と思われていたが、どうやら、がんにも関係しているということ。 驚きの研究結果だが、実はそのことをさらに示唆しているのが、京都のとある町の人たちの“お腹の中”だという。
京丹後の人たちは酪酸菌が多い
日本は世界でトップクラスの長寿大国だが、その中でも長寿の町といわれるのが、京都府にある京丹後市。 京都駅から特急で約2時間半かかる日本海側に位置するこの町は、もっとも長く生きた男性としてギネス記録になった故・木村次郎右衛門さんの出身地で、100歳以上の人が多いことで知られている。なんと、全国平均の3倍以上もの長寿の人がいるのだ。 なぜ京丹後市には長生きの人が多いのか。その秘密を探るべく、京都府立医科大学は7年前から高齢者を対象に食事内容や睡眠時間、血液検査の結果など、600項目以上を調査し、15年間観察する「京丹後長寿コホート研究」に取り組んでいる。 その項目のひとつが腸内細菌なのだ。 「私たちが京丹後の高齢者に協力してもらい、腸内細菌を調べたところ、ほかの地域と比べて特定の善玉菌が多いことがわかったのです」 京丹後市の近くにある京都市と比べて、京丹後市の人に多かった腸内細菌は「酪酸菌」と呼ばれる種類だ。 私たちの腸にいる善玉菌は、私たちが食べたものをエサにしていて、私たちの健康にいい物質をつくり出している。酪酸菌は酪酸という物質をつくる善玉菌のこと。 これまで善玉菌というと、乳酸菌やビフィズス菌が取り上げられることが多かったが、近年注目されているのが酪酸菌だ。 酪酸菌がつくり出す酪酸が増えると、大腸の壁の細胞の働きが活発になり、酸素が消費されて腸管に入らず、善玉菌が好む無酸素状態が保たれる。もし酪酸が少ないと腸管に酸素が入り、酸素があっても生きられる悪玉菌が増えてしまうのだ。 実際、酪酸菌が多い京丹後の人たちは悪玉菌が少なかったという。