40歳超えても返済続く? 跳ね上がる学費にかさむ奨学金「子ども産む発想なくなった」
そんなあゆみさんは今、特に奨学金の重荷を実感している。交際中の男性との結婚を考えているが、踏み切るうえでいまだ残る奨学金が心理的に大きな障害となっているのだ。 「約10年返済してきて半分以下になりましたが、それでも400万円近い借金があります。そのことを相手に伝えるのはとても気が重いです。また、相手の両親がどう思うかを考えると、とても言い出せません」 そのため結婚を意識しながらも、踏み出せないまま時が過ぎている。さらに、もし結婚できたとしても、子どもを産むとしたらまた大きなハードルが待っている。奨学金を返済しながら子育てをしていくことができるのか。休職することになってもまた職場に復帰できるのか。たまに、ふとした瞬間に頭をよぎることがある。 「もし、奨学金がなければ今ごろは普通に結婚して、子どもも産んでいたんだろうな」
いまや半数の学生が奨学金を借りる背景
政府は少子化問題を「静かな有事」と位置づけ、最重要課題として取り組む方針を示している。岸田首相は「2030年代に入るまでのこれから6年から7年が、少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンス」と述べる。そのためには、特に出生数をどれだけ増やせるかがカギになるが、20~30代の世代にとって奨学金は少なからず結婚や出産の障害となっている。 奨学金には大別すると、給付型と貸与型がある。それぞれ成績も加味されるが、給付型は親の年収などの資格条件が厳しく、受給するのは容易ではない。貸与型には利子のない1種と利子がつく2種があるが、こちらも家庭の収入などの条件によって1種で受給できる人は限られる。 昨年9月、労働者福祉中央協議会が奨学金を受けた2200人を対象に行った調査で、給付型はわずかに2%、有利子貸与が60%強で、無利子貸与は約50%だった(有利子と無利子の両方を借りている人もいる)。返済に関して「かなり苦しい」と答えた人は20.8%で、2015年調査のときの12.0%から大幅に上昇している。「少し苦しい」と答えた人も合わせると44.5%と半数に近い。