6光年先のバーナード星で太陽系外惑星が見つかる さらに3つの候補も
カナリア天体物理学研究所(IAC)のJonay González Hernándezさんを筆頭とする研究チームは、「へびつかい座(蛇遣座)」の方向約6光年先の恒星「Barnard's star(バーナード星)」で太陽系外惑星を発見したとする研究成果を発表しました。研究チームの成果をまとめた論文はAstronomy & Astrophysicsに掲載されています。 今日の宇宙画像 研究チームが報告した系外惑星は「Barnard b(バーナード星b)」と呼ばれており、最小質量は地球の約0.37倍(火星の質量の約3倍)で、主星であるバーナード星を約3.15日周期で公転しているとみられています。バーナード星は連星を成していない単一の恒星としては太陽に最も近い星として知られています。 主星からBarnard bまでの距離は約0.023天文単位で、太陽から水星までの平均距離(約0.39天文単位)の6パーセントほどしか離れていません。赤色矮星であるバーナード星の表面温度は太陽の半分程度(約2900℃)と低いものの、Barnard bの公転軌道はバーナード星のハビタブルゾーンの内側に位置しており、表面の平衡温度は約125℃と推定されています。 今回の成果は、ヨーロッパ南天天文台(ESO)が運営するパラナル天文台の「超大型望遠鏡(VLT)」に設置された分光観測装置「ESPRESSO」を使用して4年間にわたって取得された156件のデータセットをもとに、「視線速度法」という手法を用いた分析の結果として得られました。研究チームによると、Barnard bの他にも公転周期が2.34日、4.12日、6.34日の惑星が存在する可能性があるといい、確認にはESPRESSOによる追加観測が必要とされています。 なお、バーナード星については2018年にもIgnasi Rablisさんを筆頭とする研究チームが系外惑星の発見を報告しています。Rablisさんらが報告した惑星は最小質量が地球の約3.2倍、公転周期が約233日と推定されていましたが、その後にバーナード星の活動に由来する一時的な信号だと反論されていました。González Hernándezさんらはこの惑星についても検証を行いましたが、存在を裏付けるデータは得られなかったということです。