巨人からロッテ移籍の沢村拓一が入団即登板で三者連続三振の衝撃デビュー…このままパで通用するV使者になれるのか?
「最高のスタートを切った。ボールを低めに集めてストライクゾーンの中で勝負ができていた。スプリットがキレて低めに集まっていたが、投手に向かって吹くマリン風がうまく作用したのかもしれない。沢村が、ここ数年苦労していた理由はコントロールと集中力だった。だが、この日は、悪い沢村ではなく、いい沢村を見せることができた。セ・リーグに比べパ・リーグの打者はレベルが高く、しかもDH制のため1人余分にクリーンナップがいるというような打線だが、彼の持っているポテンシャルを出せば通用するということを証明した。ただ、今後、克服していかねばならない課題はある。彼もインタビューでコメントしていたが、ここで成長、進化することが必要になってくるだろう」 池田氏が指摘する「進化の必要」とは何なのか。 「パ・リーグではインサイドをしっかりと攻め切ることが重要になってくる。沢村は、ビヤヌエバの初球にインサイドを攻めてキャッチャーフライを打たせた(結果は落球)が、ああいうボールだ。ヤクルトのバレンティンが移籍してきたソフトバンクで苦労している例を見ればわかるだろう。パ・リーグの投手は、しっかりとインサイドを力のあるボールで攻めてくるからだ。沢村はストレートとスプリットと球種が少ないだけになおさらだ。古い話で恐縮だが、私も阪神からダイエー(ソフトバンク)に移籍した際、そこを意識してキャンプから徹底してインサイドの意識を植え付け、右打者にはツーシーム、左打者にはカットボールというインサイドで出し入れできるボールも覚えた。沢村はコントロールのある投手ではないので、アバウトになるかもしれないが、球威でインサイドを攻めていく進化を見せることが、この活躍を続けていくポイントになるだろう。残り51試合もある。唐川、ハーマン、益田の勝利方程式も、誰かが調子を落とすケースも出てくるが、沢村が1枚加われば中継ぎで粘って逆転を演じるというロッテの勝ちパターンがより強固になるだろう」 過去にセからパに移籍して活躍した選手はそう多くない。巨人からはFAの人的補償で高木勇人や、内海哲也が西武に移籍したが、1年目に結果は出せず、内海は2日のロッテ戦でようやく移籍初勝利したばかり。パ・リーグの打撃レベルに苦労している。 だが、古くは、落合博満氏との大型トレードで中日からロッテに移籍して最優秀救援投手、最多セーブを獲得した牛島和彦氏、阪神からオリックスにトレード移籍してエースとして活躍した野田浩二氏らの成功例がある。最近では、同じく阪神から西武に移籍した榎田大樹が1年目に前年0勝から11勝利した。池田氏の言うように「進化」の成果だろう。 試合後、3打点のマーティンと共にお立ち台に呼ばれた沢村は、「はじめまして。沢村です」と、自己紹介をし、「これからはマリーンズのために腕を振っていきます。よろしくお願いします」と挨拶をした。 「今日投げたばっかりです。また明日。チームのためにしっかりと準備して頑張ります」 沢村は生き生きとした表情で誓った。