巨人からロッテ移籍の沢村拓一が入団即登板で三者連続三振の衝撃デビュー…このままパで通用するV使者になれるのか?
何かの運命なのだろうか。連続三振で二死をとって3人目は、また元巨人のビヤヌエバである。初球はインサイドに151キロのストレートを投じた。ビヤヌエバは、それをポーンと真上に打ち上げた。だが、マリンの独特の風にあおられ、キャッチャーの田村は、ふらつき、ミットに当てながら落球した。だが、沢村は冷静だった。スプリットを連投。最後は148キロのスプリットで空振りを奪った。沢村は雄叫びをあげた。三者連続三振の圧巻デビューである。 「ほっとした」 沢村の素直な心境だった。 「こういう展開だったので、なんとか後ろのピッチャーにゼロで渡すことができて良かったです」 ベンチ前では、鳥谷敬らナインに出迎えられたが、その中に帽子をとって深々と頭を下げた井上晴哉がいた。中央大の1年後輩。沢村は、その背中をポンポンと二回たたいて祝福に応えた。チームにはもう一人中央大時代に同部屋だった2年先輩の美馬学がいる。 「昔から知っている大好きな先輩です。尊敬もある。いろんなことを教えてもらいながら成長していきたいです」 試合前練習では、さっそく色々とチーム指南を受けた。美馬もFAで楽天から移籍して1年目だから沢村の気持ちがよくわかるのだろう。溶け込みやすい環境がロッテにはあった。 ロッテは7回を15試合連続無失点の防御率0.00の唐川侑己、8回は、前楽天のハーマン、9回は守護神の益田直也とつなぐ、勝利の方程式で1点のリードを守り切っ侑己 井口監督は、試合後、「5回から中継ぎがしっかりと抑えてくれた。小野が(5回を)抑えてくれて流れがこっちにきた。中継ぎの勢いのあるピッチングが攻撃の流れにつながる」と、中継ぎ陣を称えた上で「頼もしいチームメイトがきた。これからも、どんどんいいところで、機会があれば使っていく」と沢村を絶賛した。 唐川ーハーマンー益田の「KHM」は確立したが、残り51試合を戦い抜き優勝を手にするには、もう1枚計算の立つセットアッパーが必要だった。そもそも、今回の電撃トレード画策の理由は、そこにあった。巨人で3軍に落とされるなど“戦力外”だった沢村を「十分な球威がある」と見込み、6年目の若手内野手、香月一也を放出してまで獲得した。その沢村が、移籍初戦で見事に期待に応えたのである。 では、このまま沢村はロッテのV使者となれるのか。 パ・リーグの野球に詳しい評論家の池田親興氏は、こんな風に見ている。