なぜ久保建英の移籍先に強豪セビージャが急浮上しているのか?
最大3人のEU(ヨーロッパ連合)圏外枠が新シーズンも埋まっている状況を受けて、レアル・マドリードはマジョルカで予想を上回る成長曲線を描いた久保を、引き続き期限付き移籍させる方針を固めている。久保が流暢なスペイン語を操れることもあって、言葉の壁が存在しないラ・リーガ1部勢のなかで、ヨーロッパの大会にも出場できるクラブを新天地の候補として検討してきた。 レアル・ソシエダが早い段階から有力候補にあがっていたのも、来シーズンのUEFAヨーロッパリーグ出場権を獲得できる位置につけていたからだ。最高峰の舞台であるチャンピオンズリーグに出場できるセビージャはレアル・ソシエダ以上に条件を満たすことから、前出のスペインのメディアもセビージャの一員となることに、久保本人が大きな魅力を感じていると報じている。 同時にレアル・マドリードは久保のさらなる成長を促す上で、十分なプレー時間が確保されることが可能なクラブを念頭に置いている。そうした観点で言えば、特に『ラ・ラソン』はセビージャにおける久保の立ち位置を「レギュラーが約束されているわけではない」としている。 スペイン代表やレアル・マドリードを率いた経験をもつ、スペイン人のフレン・ロペテギ監督が指揮を執って2シーズン目を迎えるセビージャは、前線からかける激しいプレスとショートカウンターを武器とする。2019-20シーズンの対マジョルカを振り返れば、久保もサイドでの守備に追われる時間が長く、なかなか攻撃に転じられないままホーム、アウェイともに0-2の完敗を喫している。 攻撃陣にも厳しく求められるプレスを体得できると考えれば、久保が新たな武器を獲得する上で、理にかなった環境と言っていい。実際に久保が加入した場合には、ロペテギ監督が掲げる[4-3-3]システムのなかでは右ウイングでの起用が考えられるが、ウイングには昨秋にアルゼンチン代表でデビューを果たし、ゴールも決めた26歳のルーカス・オカンポスらが居場所を築いている。 ただ、久保自身はさらに力をつけた上で、ごく近い将来にレアル・マドリードへ復帰を果たす自身の姿から逆算してマジョルカでプレーしていた。中断期間中の今年4月にインタビューが掲載された、スペイン国内で2番目に発行部数が多いスポーツ紙『アス』ではこんな言葉を残している。 「僕の夢ははっきりしています。マドリードの白いユニフォームを着て(サンティアゴ・)ベルナベウでプレーするためにいま、マジョルカでいろいろなことを学んでいる。すべては自分次第ですけど、マドリードに居場所はあると思う。素晴らしい選手になって、マドリードで大きなことを成し遂げたい」