「新型コロナ後遺症の原因」の手がかりを示す新たな研究
最近研究によると、SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)のタンパク質が急性感染から数カ月後にも血中で検出されることが確認された。この発見は、新型コロナ後遺症(ロングコビッド)の病因に関する重要な手がかりを提供する可能性がある。 研究者たちが、初回感染から数カ月経過した新型コロナ後遺症患者の血液中にSARS-CoV-2タンパク質を検出した。このことは、持続的なウイルスの「貯蔵所」が新型コロナウイルス感染症の後遺症と関連している可能性を示唆している。しかし、この発見は持続感染が新型コロナ後遺症の原因であると断定するものではなく、新しい治療法をただちに提示するものでもない。それでも、この研究はこの継続する問題に対して重要な洞察をもたらす。 この研究結果は、米国時間10月8日に『Clinical Microbiology and Infection』上で発表された。 パンデミックが始まって以来、多くの人々が初感染後も数カ月間にわたり続くさまざまな症状を経験している。この問題の正確な規模を評価するのは難しい。ある報告では、米国内で推定580万人の子どもが新型コロナ後遺症に苦しんでいる可能性があるとされている。さらに、米疾病予防管理センター(CDC)のデータによれば、成人の約18%が新型コロナ後遺症を経験したと報告している。 この問題を評価するのが難しい一因は、新型コロナ後遺症、PASC(Post-Acute Sequelae of SARS-CoV-2 infection:新型コロナウイルス感染後遺症)が多様な症状で現れる点にある。多くの人が疲労感や「ブレインフォグ(思考力の低下)」を訴えているが、呼吸器、消化器、神経系の症状も報告されている。これらの多様な症状を考慮して、アメリカの国立科学アカデミー、工学アカデミー、医学研究所の専門委員会は、PASCを「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染後に発生し、少なくとも3カ月以上続く、再発・寛解を繰り返す、または進行性の病態であり、1つ以上の臓器システムに影響を与える感染関連の慢性疾患」と定義することを推奨している。