水原希子やNewJeans、IVEを虜にするTomoya Nakagawa 3Dプリンターで創るネイルアートの世界
3Dプリンターとの出会い
ーまるでジェットコースターのような展開に思えます。 漁師の仕事も好きだったのですが、すでに新しいことをしたくなっていたのだと思います。そのときはネイルを作ることになるとは思っていませんでしたが。 渡米直後にロックダウンで家から出られなくなり、パートナーの家でネイルのアシスタントをすることになったんです。その合間に、自作のネイルチップをInstagramやTikTokに投稿しはじめました。
ネイルに没頭できたのはコロナ禍での長いステイホーム時間があったことが大きいですね。もしパンデミックが起きていなかったら、きっと外で遊んでいたはずですから。細かいペイントや異素材使いなど、ひたすら実験をしました。そのなかでジェルネイルに使うレジンをピンで伸ばしてからUVで硬化するとアメーバのような形状で固定されることがわかり、自分なりの面白いスタイルが見つかってきたんです。
ー現在の有機的なかたちの原型ですね。その後3Dプリンターを使いはじめると、一気に創作が加速した印象があります。 それもパートナーのおかげです。アトリエには『ZBrush』や3Dプリンター、塗料などが一通り揃っていて、これから扱い方を模索していく段階だったんです。Webの記事やYouTubeの動画でソフトの使い方を学びながら、ツールのひとつとして使いはじめました。当時、3Dプリンターを活用して立体的なネイルを作っているクリエイターはほとんどいなかったのでゼロから考えなくてはなりませんでしたが、その自由さがすごく楽しかった。おもちゃ箱をもらったような気持ちでした。
はじめの数ヶ月は、ハンドメイドの造形と3Dプリンターの両方で作っていましたが、徐々に作品がSNSで注目されはじめるにつれて3Dプリンターを主体にしていきました。このツールを使って自分にしか作れないものを生み出したいと思ったからです。浮き輪のときのように誰かがコピー品を出そうとしても絶対に追いつけないくらい、本当のオリジナルを目指していきました。 4ヶ月が経ったころ、ほぼ同時に仕事のオファーをもらいました。Björkのスタイリストと、Chloe x Halleのクリエイティブチームです。そこからキャリアが始まって、いまに至ります。