次世代のために意見のキャッチボールを――移り変わる時代に、サザン桑田佳祐が音楽で生む「コミュニケーション」
9月末から10月にかけて4日間、神奈川県・茅ヶ崎で野外ライブを催す。デビュー曲「勝手にシンドバッド」でも歌われた茅ヶ崎は桑田の生まれ故郷だ。 「夜、寝ていて夢を見ると、今も出てくるのは茅ヶ崎の実家。自分でも気づかないうちにずっと“心の中に”染みついているんでしょうね。しみじみ思うけど、もし自分が茅ヶ崎に生まれ育っていなければ、例えば隣町の平塚だったら、『勝手にシンドバッド』は生まれていなかったかもしれないし(笑)、作風も芸風も今とは違っていたはず。両親にも感謝です」
今年は坂本龍一のほかにも、YMOの高橋幸宏やシーナ&ロケッツの鮎川誠など、桑田よりも数歳上のアーティストが惜しまれつつこの世を去った。 「40代、50代の頃だったら、もうちょっと死に際さえもカッコつけようとする下心もあったんでしょうけど、“理想的な人生の仕舞い方”なんて考えても、今はせいぜいスマホの履歴を消さなきゃなとか、エロDVDをどこに隠そうとかぐらいしか思いつかない(笑)。病気も経験したけれど、最期の時なんて突然ピンコロで来るかもしれないし、寝ている間に逝っちゃうかもしれないし。事故や疫病や災害の可能性だってある。そこは自分じゃ何ともなりませんけど、いずれはカウントダウンを始めざるを得ない時が来るでしょうね」 「それでも今はまだ」と、桑田はにこりと笑う。 「大きな夢や希望なんて今さら大して無いけれど、音楽やステージの上で張りたい見栄はまだまだある。だからもう、ファンの皆さんに望まれることは出来る限り何でもやりたい……なんて、一応言っておこうかな(笑)。いつまで尖っていられるかは分からないけれど、とにかく今この瞬間は、茅ヶ崎ライブの初日を元気に迎えられたらと思います」 桑田佳祐(くわた・けいすけ) 1956年生まれ。神奈川県出身。78年、サザンオールスターズのボーカル・ギターとして、シングル「勝手にシンドバッド」でデビュー。87年以降、ソロでも活動。デビュー45周年の今年、7月から3カ月連続で、新曲「盆ギリ恋歌」「歌えニッポンの空」「Relay~杜の詩」を配信リリース。9月27日~10月1日の4日間、茅ヶ崎公園野球場で「茅ヶ崎ライブ2023」を開催予定。 --- 本記事はYahoo!ニュースがユーザーと考えたい社会課題「ホットイシュー」、「#昭和98年」の一つです。仮に昭和が続いていれば、今年で昭和98年。令和になり5年が経ちますが、文化や価値観など現在にも「昭和」「平成」の面影は残っているのではないでしょうか。3つの元号を通して見える違いや残していきたい伝統を振り返り、「今」に活かしたい教訓や、楽しめる情報を発信します。