23mmでジュエリー感覚の“ロイヤルオーク”から考える、女性CEOによる「オーデマ ピゲ」進化の方向性
スイスの高級時計マニュファクチュール「オーデマ ピゲ(AUDEMARS PIGUET)」が変わりつつある。同ブランドは今年1月、長年にわたりブランドを率いてきたフランソワ-アンリ・ベナミアス(Francois Henry Bennahmias)に代わり、イラリア・レスタ(Ilaria Resta)がCEOに就任。イラリア新CEOは、米プロクター・アンド・ギャンブル(PROCTER & GAMBLE)で20年以上に渡り幹部を務め、2020年にはスイスの香料メーカー、フィルメニッヒ(Firmenich)に入社して後にパフューマリー部門の社長に就いた人物だ。高級時計ブランドのトップに、一般消費財業界出身の女性CEOという人事は、業界を驚かせていた。 【画像】23mmでジュエリー感覚の“ロイヤルオーク”から考える、女性CEOによる「オーデマ ピゲ」進化の方向性
最初の肝入り案件は、23mmで
クオーツの“ロイヤルオーク”
そのイラリア新CEOが「オーデマ ピゲ」に入社後、最初に情熱を傾け、今回発売したのは“ロイヤルオーク ミニ フロステッドゴールド クォーツ”だ。18金のイエローゴールドとホワイトゴールド、ピンクゴールドで作った3種の時計は、いずれも23mm径で価格は473万円。1997年に発表した、ケース径20mmの“ミニ ロイヤル オーク”を再解釈したものという。
最大の特徴は、現在の“ロイヤル オーク”コレクションの中で最小のサイズだ。これまでの最小サイズは34mm径だから、一気に11mmも小さくなった。小さなケースに収めるからムーブメントは、電池寿命7年以上というクオーツ。イタリア・フィレンツェに古くから伝わるジュエリーの宝飾技法で、「オーデマ ピゲ」が宝飾デザイナーのキャロリーナ・ブッチ(Carolina Bucci)と2016年に確立した、フロステッドゴールドの技法を取り入れた。ゴールドの表面をダイヤモンドチップ付きのハンマーで鍛金するすることで、ゴールドに貴石のような、まるでダイヤモンドを隙間なく埋め込んだかのような煌めきを与える。これまでラグジュアリー・スポーツな時計の先駆的存在として主に男性に愛されてきた“ロイヤルオーク”が、23mmという大きさ、クオーツムーブメント搭載だからこその薄さ、そしてフロステッドゴールドの輝きで、ブレスレット感覚で楽しめるジュエリー時計の性格を帯びた。