23mmでジュエリー感覚の“ロイヤルオーク”から考える、女性CEOによる「オーデマ ピゲ」進化の方向性
高級時計マニュファクチュール、つまり自社で一貫して腕時計を生産するメーカーからの、クオーツ時計の発売には驚いたり、戸惑ったりする男性ファンもいるだろうか?しかし「オーデマ ピゲ」は長きに渡り、レディス時計を作ってきた過去がある。後述するイタリア・ミラノで開催した展覧会では、「カルティエ(CARTIER)」などのトップジュエラーを思わせる、1920年代のアール・デコ調のジュエリー時計なども展示。75年にはプロダクトデザイン部門のトップにジャクリーヌ・ディミエ(JacquelineDimier)という女性が就任し、99年までの長きに渡り責任者を務めた。女性のイラリアCEOは、こうした歴史を改めて発信しながら、「オーデマ ピゲ」を男性のみならず女性も熱烈に愛するブランドへと導きたいのだろう。思い切ってクオーツムーブメントを搭載したジュエリー感覚の時計は、小柄な女性が多く、海外に比べると今なお華奢な時計も好まれている日本で(生産本数に限りはあるものの)売れそうだ。
“ロイヤルオーク ミニ フロステッドゴールド クォーツ”の発売を祝ったミラノのパーティーでは、ブランドのアンバサダーを務めるセリーナ・ウィリアムズ(Serena Williams)を筆頭に、多くの女性が集った。
形と素材にフォーカスの展覧会で、イマーシブに
“ロイヤル オーク”と“コード11.59”以外の奥深さ発信
“ロイヤルオーク ミニ フロステッドゴールド クォーツ”の発売とともに、ミラノでは展覧会「シェイピングマテリアルズ」を開催した。その名の通り、シェイプ(形)とマテリアル(素材)に着目した展覧会だ。
先にマテリアルを説明すると、例えば今「オーデマ ピゲ」が注力する、カモフラージュ模様のセラミックや18金ゴールドの文字盤作りの一端やプロトタイプを紹介。高級時計の世界では今、ゴールドを主体としたさまざまな合金が生まれたり、色とりどりのセラミックを見かけたりの機会が増えているが、「オーデマ ピゲ」のように、その合金やセラミックを組み合わせて模様を描こうとする発想は珍しい。いずれも技術的にはかなり難しいものだが、それぞれ「クロマセラミック」と「クロマゴールド」と呼ぶプロトタイプは完成している。