【Mummy-D×KOHEI JAPAN】大阪・泉州エリアの歴史を巡る! 古代の伝承から戦国の動乱まで時空を超えた旅へ
ヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」の兄・Mummy-Dと、「MELLOW YELLOW(メローイエロー)」の弟・KOHEI JAPAN。2人は共に音楽シーンで活躍する一方で、大の歴史好き。前編に引き続き大阪・泉州を舞台に、歴史と文化、食、自然などあらゆる角度からその魅力を徹底レポートしていきます! ■葛葉伝説が残る信太森葛葉稲荷神社 (by KOHEI JAPAN) 泉佐野青空市場で昼食と遠い目を済ませて、我々が次にピットインしたのは和泉市にある信太森葛葉稲荷神社。「しんたのもり」ではなく「しのだのもり」と読む。もちろん俺も読めなかったので安心して欲しい。 なんと創建は和銅元年(708)との事。信太森というだけあってこの一帯は森だったのであろうが、今は住宅街になっており、その一角、といってもかなり広大な敷地に木々がおい茂っている。ここだ。空気が違う。さっそく鳥居へ。両脇にさっそく白狐が鎮座している。稲荷と名のつく神社には白狐がいる。白狐は稲荷大明神の従者なんだそうな。皆さんの近所の稲荷神社にもいるはず。そんな白狐ですが、この葛葉稲荷ではキツネも神そのものなのだそうな。何故かというと、このお宮には、狐にまつわるなんとも切ないラブストーリーが言い伝えられているのだ。 「葛の葉伝説」と言われているこのお話。1000年余り前、大阪の阿倍野の里に阿倍保名(あべやすな)という男が住んでいたそうな。豪族だった父がだまされて所領を没収されたため、保名は家の再興を願い、信太明神に日参していた。ある日、保名が狩人に追われた白狐を助けたところ、葛の葉と名乗る女性が現れる。やがて保名と葛の葉の間には童子丸という子が誕生するが、童子丸が5歳の時、葛の葉の正体が白狐であることがわかってしまう。オウノウ!もうこれまでと葛の葉は口にくわえた筆で歌を書き残して去っていく。 その歌は、 「恋しくは たづねきてみよ 和泉なる 信太の森のうらみくずの葉」 そしてこの童子丸こそ、数々の天皇に使えた、後の陰陽師・安倍晴明なのだそうな。切ねえよう。涙が邪魔して遠い目出来ない。そんな言い伝えもあり、ここ葛葉稲荷神社では狐も神として扱われているのだ。 泣きながら連なる鳥居をくぐる。くぐるたびに身体が清められていく感覚。昼に泉佐野青空市場で飲んだルービーが抜けてゆく(多分)。まずは本殿へ。この神社は幸い火事や戦火などの影響はなかったとのこと。ご厚意により中に入らせていただき祈祷していただく。 そして我々は本殿横にある護神木へ。樹齢2000年の楠木! 枝ぶりが四方に繁茂しているので千枝(知恵)の楠、また、木の幹が根元より二つに分かれているので夫婦楠とも云い伝えられているらしい。また、良縁を求める人、片思いの人など、この楠木の一方を抱きかかえて願う時は想いが達すると伝えられている。和泉市の天然記念物なのだそうな。うーむ。まさにパワースポット! 次は姿見の井戸へ。白狐が美婦人(葛の葉姫)と化現したときに、鏡に代えて姿を写した井戸。葛の葉が無事にこちらの森に帰りついたことから交通安全を願う人々が姿を写している。また、遠く海外に行く人がこの井戸に姿を写しておけば再び無事に帰って姿を写すことができるといういい伝えもあるそうな。戦時中は兵士が出兵の前に立ち寄り、弦を担いだそうな。 そんなこんなで色々とまだまだ見どころ満載なのだが、とにかく敷地が広い! なんなら公園もある。さらに末社(小さい神社)が60以上!そしてとにかく狐が多い。なんでも今54体だそうな。全部見ようものなら半日はかかる。うーん。何処かに何か似ているような…。そういえば、あのテーマパークもいろんなアトラクションとたくさんのネズミ…。って、おい!こっちは神様だ! 不謹慎だぞ! 炎上するぞ!(編集部注:我々も炎上が怖いです) 読者もともと少ないのに! まあ俺がデートで行くなら断然こっちですな。