海に沈んだ「幻の古代都市」5選、近年になり続々と発掘 いったい何があったのか
古代ギリシャやエジプトの港湾都市、古代ローマの別荘地も
海に沈んだ古代の都市は、神話の物語ではない。古代の世界では、実際に多くの沿岸の都市が押し寄せる波に飲まれ、家も街路も神殿もすべて道連れにして、海の底に消えていった。だが、海底に沈んだために誰もかつての都市にたどり着けず、何千年もの間に伝説が渦巻き、いつしか幻と化した。 ギャラリー:海に沈んだ「幻の古代都市」5選 写真と画像20点 しかし、20世紀に入ると、海洋学や海洋科学の目覚ましい進歩によって、水中考古学への扉が開かれる。現代の考古学者たちは、音波探知機、ロボット工学、3Dスキャン、水中カメラといった最新のテクノロジーを駆使して、古代の海底遺跡を見つけ、調査している。おかげで、海底遺跡の地図が新たに作成され、遺物が回収され、古代の都市の物語が再び現実となった。ここでは、そうやって光が当てられるようになった5つの古代都市を紹介しよう。
世界最古の水没都市遺跡、パブロペトリ
ギリシャのペロポネソス半島南部に位置するパブロペトリ(現在の遺跡の名称)は、紀元前3500年頃の新石器時代に集落が形成され、ミケーネ文明(紀元前1650~1180年)における交易の重要な中心地となった。しかし、エーゲ海のこの地域は地震と津波が多かった。そのために町は少しずつ沈み、海岸に最も近い建物は荒波や津波にさらされた。そして3000年以上前、地中海の緩やかな海面上昇によって、町は水没した。 1967年、海面の変化を分析するデータを集めるためにペロポネソス半島の海岸で科学的調査が行われた際、英国人海洋学者のニコラス・フレミング氏が水没した構造物を発見した。1年後、フレミング氏は数人の学生を連れて現場に戻り、遺跡を調査し、地図を作成した。このときに15の建物と中庭、張り巡らされた道路、墓が特定されたが、その後、遺跡は数十年間放置された。 2009年に、考古学者のクリサンティ・ガロウ氏とジョン・ヘンダーソン氏がギリシャ文化庁の協力を得て発掘を再開。2009年から2013年までに、先端技術を駆使して、海底に眠っていた古代都市の全貌を明らかにした。