なぜ千葉ロッテ・福浦和也の引退試合で「野球の神が舞い降りた」美技が生まれ勝利できたのか?
千葉ロッテの福浦和也(43)の引退試合が23日、ZOZOマリンで行われ、DHでスタメン出場した福浦は4打席立ちノーヒットに終わったが、9回には一塁の守備につき、二死一塁からダイビングキャッチで劇的なゲームセットを演じた。福浦の引退試合に一丸となったチームは日ハムを6-1で撃破。CS争いをしている3位の楽天に0.5差と迫った。ロッテ一筋26年間。習志野高から投手で入団後、打者転向し2000本の金字塔を打ち立てた、叩き上げのバットマンは、「悔いなき最高の野球人生でした」と語り満場の福浦コールを背にバットを置いた。
神が舞い降りた美技
井口監督が興奮気味に言った。 「野球の神様がいましたね!」 一塁の左を襲うライナーに横っ飛び、グローブにボールが入ったのを確認した福浦は、そのグローブを高々と掲げてマウンドから走ってきた益田と抱き合った。 「3日前から下(ファーム)で一塁に入ったんだけど、久々だからね。勝手に体が反応した。益田にひとつ牽制をしてもらっただけで、うるっときた。まさかオレのところに飛ばそうとインサイド攻めをしているとは(笑)」 9回。井口監督がDHを解除して、福浦をゴールデングローブ賞3度受賞の定位置につける粋な演出をしていた。その福浦のファインプレーでゲームセット。激しいCS争いで楽天を追うロッテは、その絶対に負けられない試合で福浦の引退試合を催し最高のフィナーレを飾ったのである。 「試合に勝ってくれて嬉しかった」 福浦はハンドマイクを持ってライトスタンド前へ向かい「WE ARE」の音頭を取った。 「自分は力になれず足を引っ張ったけど、素晴らしい仲間が勝ってくれました」 全員で肩を組みファンと一緒にジャンプした。 前夜、井口監督から福浦に電話が入った。 「明日はスタメンで行くからな」 CS争いをしているチームに迷惑をかけられないと辞退したが、この日、球場に来るとスタメン表に名前があった。井口監督は、今季1度も1軍昇格のなかった福浦を「7番・DH」でフル出場させた。それは26年間、ロッテ一筋でプレーした福浦へのリスペクトの証だった。 「福浦さんの引退試合で負けるわけにはいかない」 鈴木大地選手会長の言葉に代表されるように、誰からも愛される福浦の引退試合にチームはひとつになった。初回につるべ打ち。一気に3点を奪い、すでにBクラスが決まっていてチームモチベーションに天と地ほどの差のある日ハムを相手に主導権を握った。