なぜ千葉ロッテ・福浦和也の引退試合で「野球の神が舞い降りた」美技が生まれ勝利できたのか?
監督、コーチを含む、全員が背番号「9」のユニホームを着用。福浦が好むストッキングを上まで上げるオールドスタイルを真似た。センターポールには、球団旗の下に背番号「9」の旗がはためき、場内のいたるところに「THANK9」のポスターが。メディアにも9の缶バッジが配られ、ライトスタンドは「9」のボードで埋まった。福浦一色にZOZOマリンが染まった。 腰を突き出し、バットの先を投手に向ける独特の打撃フォーム。イチローとケン・グリフィーJrにインスパイアされたフォームである。 最初の打席はショートゴロ。第2打席に入ると、甲子園で有名になった母校・習志野の応援歌が奏でられた。福浦の打球は、投手の足元を襲ったが、うまくさばかれた。3打席目は、打球の角度は良かったが、タイミングは少しずれてライトライナー。そして現役最後の打席となる7回も、内野へポーンと打球を打ち上げてキャッチャーが捕った。 日ハムバッテリーはストレート勝負。 「日ハムはストレートだけで勝負してくれたのにね。もうちょっといい当たりができると思ったけれど、厳しかった。これが今の実力」 自宅を出る際に妻と2人の息子からそれぞれ3通の手紙をもらった。球場で、感謝と労いの言葉が並んだ、その手紙を読んだとき、涙腺が崩壊しかけた。 始球式は小5の次男がマウンドを踏み打席には福浦が立った。幕張名物の最高18メートルの強風が吹き荒れて、次男の帽子を何度も吹き飛ばした。まるで引退の日を少しでも長引かせようとするかのように。 引退セレモニーでは、同期の松井稼頭央・西武2軍監督、元巨人監督の高橋由伸氏、今季、シーズン途中に引退した上原浩治氏からビデオメッセージが届き、ロッテOBからは、ベニー、里崎智也氏、小林雅英氏、大松尚逸氏、サブロー氏、渡辺俊介氏、西岡剛、岡田幸文氏、今江敏晃ら福浦と縁の深い人たちからの声が続いた。 場内を和ませたのは、サブローの寮住まい時代に、買ったばかりの新品のソファに福浦が、食べる前に焼きそばをこぼしたというエピソード。