「転んでもただでは起きない」駒澤大の逆襲はあるか…箱根駅伝メンバー選考レースで出場9名全員が自己記録! 「今回は挑戦者として伸び伸び戦える」
学生三大駅伝も出雲・全日本が終わり、いよいよ箱根駅伝に向けて各大学のメンバー選考も本格化してくる。そんな中11月10日に行われた世田谷ハーフマラソン、17日の上尾ハーフマラソンには有力校の選手が数多く出走した。中でも注目は、出雲と全日本では敗れたものの、箱根での逆襲を目論む駒澤大だ。新戦力の台頭、上級生の底上げはあったのか。チームの現状を追った。 【写真】「走っているときとのギャップが…」上尾ハーフ表彰式でおっとり笑顔を見せる帰山(3年)ほか、全日本、出雲、前回の箱根まで駒澤大の激走+歴代箱根名シーンのすべてを見る 「今日は、収穫が大きかったですね」 上尾ハーフマラソンを終えて、ホッとした表情を見せたのは、駒澤大の藤田敦史監督だ。チーム内の箱根駅伝の選考レースという位置付けだったが、帰山侑大(3年)が61分59秒で2位、村上響(2年)が3位、谷中晴(1年)が4位、吉本真啓(4年)が7位と、8位入賞内に4名もの選手が入った。さらに初ハーフ組を合わせてエントリーした9名がみな自己ベストを更新、上尾はさながら「駒澤大のPB(パーソナルベスト)祭り」になった。 1週間前の世田谷ハーフが終わった時には、藤田監督は終始渋い表情だった。
世田谷で見えた青学大の分厚い選手層
このレースに向けては、過去に結果を出した時と同様の調整を行い、出場する3人に上位争いを期待した。だが、植阪嶺児(2年)は65分28秒で28位、初ハーフ組の宮城珠良(4年)は65分39秒で33位、坂口雄哉(1年)は67分18秒で60位に終わった。世田谷を選考レースにしていた青学大はトップ3名に加え、計6名が8位入賞するなど表彰台を独占した。 「青学大との選手層の差が出たなと思いました。全日本に出てない選手でもこのコースで62分台を出し、先頭争いをしてくるわけですから、やっぱり強いですよ。そこに勝とうと思ったら、出た3人が少しでも前に絡む走りをしないといけないんですが、5キロで遅れてレースにならなかった。昨年、この大会で1年生だった村上や新谷(倖生・2年)、小松(聖・2年)が63分半で走っていたので、そのくらいで来てほしかったんですけどね」 藤田監督は、厳しい表情でそう言った。 距離が長くなる箱根で、青学大が優位であることは理解している。11月3日の全日本では青学大はアンカー勝負で敗れはしたが、選手層では優勝した國學院大や駒澤大を凌駕しており、世田谷ハーフでさらにその層の厚みと強さを見せつけた。 「青学大に比べると、うちは選手層が薄い。でも、出雲、全日本であれだけの走りを見せるなど頑張った中で、世田谷でも走れればチームとして勢いがあるなって見てもらえると思うんです。でも、こういう結果になってしまうと、やっぱり駒澤大は選手層が薄いよねってなってしまう。次の上尾では、全日本を走った選手も出るので、タイムよりもどういうレースをするのか、どのくらい勝負に絡めるかを重視します」 上尾の出場選手の中には全日本で好走した村上や谷中、島子公佑(2年)もいたが、藤田監督は「全日本を走れたからといって大丈夫だと安心するな。上尾で、もう一度選考させてもらう」と選手に発破とプレッシャーをかけた。 箱根に向けてラストチャンスになった上尾で結果を出したのは、帰山だった。 「今回はタイムよりも勝負を重視していました。15キロ過ぎに前に出たんですが、優勝できなかったのは悔しいです。結果的に順位にタイムがついてきたという感じで、タイムに関しては良かったと思いますが、勝ち切れないのが自分の甘いところです」 帰山は、10月の出雲駅伝で2区4位とまずまずの走りを見せた後、全日本にも出場予定だった。だが、大会前の10000mのポイント練習をした際、ラスト1000mでペースが上がったところで体が動かなくなった。 「ポイントを外した感じになったんですが、出雲の疲労が抜けていない感覚がありました。これで全日本を走らせてもらってもダメだなという感じがあったので、出れなかったのは悔しいですけど、仕方なかったです」
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