【相撲編集部が選ぶ秋場所10日目の一番】大の里、霧島にも圧勝! 優勝と大関へまた大きく前進
もはや大の里が大関も優勝も手中にすることはほぼ間違いない、と言っていいかもしれない
大の里(寄り切り)霧島 優勝の行方を左右する大一番は、一方的だった。 大の里が、星1つの差で追っていた霧島を一方的に寄り切って差を2に広げ、優勝と大関へ、また一歩、大きく前進した。 注目された立ち合い。大の里はモロ手突きでなく、右肩から当たる形を選択。そして一方、策を弄していったのは、元大関のほうだった。霧島は、左に動いて前ミツを狙う作戦に出た。 大の里は右手を前にして少しのめりかけたが、反応よく向き直ってすぐ右差し。霧島のほうは立ち合いすぐではなく、少し遅れて左上手を取ったが、狙っていたであろう、頭をつけて横に食いつく形は作れず。大の里に右手、右肩を使って顔を起こされ、さらに右も下手は取ったが、大の里に左からおっつけられる形となった。 霧島は左右の廻しを取り、大の里は廻しに手がかからず。ただそれでも、大の里が右の差し手と左のおっつけで霧島の重心を制御し、正面に置けば、体の大きい大の里の圧力が勝る。大の里はそのまま向正面に寄り、勢いそのままに自らも土俵外に落ちながら、勝負審判として見守る師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)の目の前に、霧島を叩き落とした。 【相撲編集部が選ぶ秋場所10日目の一番】熱海富士が1敗対決に勝ち、単独トップに。さあ三役戦だ 「落ち着いて対応できた」と大の里。「よく見ていった?」の問いにも「そうですね。しっかり集中していると思います」と、この勝負に関しては、もはや相手に正面からぶつかることを放棄させ、変化に冷静に向き直ったところで勝負あったといえるか。 これで初日から10連勝として優勝争いでは後続に2差、大関昇進の目安とされる12勝へはあと2勝とした。 残りの対戦相手は、あすは琴勝峰が確定、あとは大関2人と阿炎、あと一人となった平幕との対戦は若隆景か宇良のいずれかと予想されるが、だんだん「止められるとすれば誰?」というレベルになってきた。これまで3戦いずれも大の里を投げ飛ばしている豊昇龍をはじめ、大関陣にも意地がある、という面はあるだろうが、気持ちのコントロールさえうまくできれば、残り5番で3敗という可能性はかなり低いとみられ、もはや大の里が大関も優勝も手中にすることはほぼ間違いない、と言っていいかもしれない。 「まだ場所が終わってないので、一日一番集中するだけ。目の前の相手に集中するだけなんで、先のことは考えず、あすの一番に集中して頑張ります」と、気持ちの上でも揺れはない。 その言葉どおり、ここからも順調に目の前の敵を一人一人倒していけば、まず大関が確実になり、そして優勝が決まり、さらにはデビューから9場所目での幕内全勝優勝なるかどうか、という話まで行く可能性もある。 このチョンマゲ姿の怪物が、このままどこまで歩みを進めていけるか。どうも最近、このフレーズを使うケースが多すぎる気もするが、我々はまたも、歴史的な瞬間を目にすることになるのかもしれない。 文=藤本泰祐
相撲編集部