知る人ぞ知るポップアート作家、トム・ウェッセルマンがパリを席巻! 取引額の高騰なるか?
ウェッセルマンは再評価されるのか?
10月16日に行われたVIPプレビューでは、ニューヨークのコレクションから出品された《Great American Nude #73》(1965年)を、ニューヨークを拠点とするディーラーのクリストフ・ヴァン・デ・ウェグが販売した。ヴァン・デ・ウェグは本作の取引価格について明言しなかったが、同様の《Great American Nude》は現在、500万~800万ドル(約7億5000万~12億円)で取引されているという。ヴァン・デ・ウェグはUS版ARTnewsの取材に対し、ウェッセルマンの小規模作品にも買い手が付いたと語り、こう続ける。 「ウェッセルマンは、最も過小評価されているアーティストの一人ですが、彼の作品を楽しみに20人くらいの人が私のブースを訪れました」 ニューヨークやロンドンに拠点を置くレビー・ゴービー・ダヤン(LGD)は、6月に開催されたアート・バーゼルで《Smoker》(1975年)を670万ドル(約10億円)で出品したが買い手を見つけることはできなかったという。しかしパリでは、習作をいくつか出品しており、《Study for Bedroom Painting #2》(1968年)には60万ドル(約9000万円)、《Study for Smoker Banner》(1971年)には45万ドル(約6700万円)の値をつけている。フォンダシオン・ルイ・ヴィトンで開催された展覧会と同様に、《Study for Bedroom Painting #2》はジェフ・クーンズの《Relief with Hummingbird》(1971年)の隣に展示し、《Smoker》の習作は、ミカリーン・トーマスが2021年に制作した元パートナーの肖像画の横に並べられている。ギャラリーのディレクターを務めるエミリオ・スタインバーガーによると、前者の並置は偶然だったが、後者は綿密に計画されたものだったという。午後には《Study for Bedroom Painting #2》に興味をもったコレクターからオファーがあったほか、《Study for Smoker Banner》にも関心が寄せられているとスタインバーガーは話す。 また、LGDの共同創業者であるドミニク・レヴィは、フェアにウェッセルマンの作品が多すぎるのではないか、と疑問を呈しており、「日和見主義的にビジネスを行っていると思われたくありません」と語った。