京都みやげから、肌ケアブランドとして認知度向上を目指す「よーじや」の挑戦
ー長い歴史のある御社ですが、事業拡大の転機となった出来事を教えてください。 國枝: 「1990年代に起きた、あぶらとり紙のブームが転機でした。弊社は創業120年になるのですが、創業後の90年間とその後の30年間で特徴が大きく変わると考えています。 前半の90年間は『地元に親しまれている化粧品屋さん』という位置付けだったのですが、あぶらとり紙のブームをきっかけに全国の方に認知していただけるようになり、一気に観光事業にシフトしました。そこからの30年間は、『京都みやげ』としてブランドが育っていきました」 ーあぶらとり紙は、現在も愛され続けるロングセラー商品ですね。人気の理由はどのような点でしょうか。 中江: 「余分な油分だけを吸収できることと、使い心地がいいことが選ばれている理由だと考えています」 國枝: 「あぶらとり紙にはパルプが使われていることが多いのですが、弊社のあぶらとり紙にはマニラ麻を使っています。パルプのものと触って比べていただくと分かりやすいのですが、紙っぽさがありません。 また、『よーじやのあぶらとり紙』として認知していただけていることも、ロングセラーであり続ける理由のひとつになっていると思います」
「京都に頼ったブランディング」から「よーじやのファン作り」へ
ー現在は、肌ケアアイテムも多数展開されていますね。こういった商品の展開にも注力し始めた経緯を教えてください。 國枝: 「観光事業では、よーじやは抹茶などと同じように郷土みやげのような存在で、『京都の魅力のひとつ』だと思っています。しかしこのままだと、弊社自身の力でお客様に店舗へ来ていただいている状態にはなりません。 観光を前提に考えると、ブランド力は確立していると言えるのですが、繰り返し通いたくなるかという視点でとらえると、選ばれるブランドを目指して努力する必要があると考えました。 何度もお店に来る楽しみを作れるよう、まずは商品のラインナップを増やしていこうと。以前から化粧品などのアイテムも多数展開していましたが、現在は特に人気があったスキンケアに特化して商品開発を進めることにしました」