いつのまにか話題性急落のなでしこジャパンは輝きを取り戻せるのか?
毎年初春にポルトガルで開催される女子サッカーの国際大会、アルガルベ杯(2月28日~3月7日)に臨むなでしこジャパンのメンバー23人が9日、日本サッカー協会から発表された。 今年は4月6日から、来年のFIFA女子W杯フランス大会のアジア最終予選を兼ねた、AFC女子アジア杯がヨルダンで開催される。歴代初の女性指揮官として2016年4月に就任。3年目を迎えた高倉麻子監督(49)は東京・文京区のJFAハウスで行われた記者会見で、内容だけでなく結果も問われるシーズンの初陣をこう位置づけた。 「今年の最大の大会である、4月のアジア杯へ向けてチームを成長させていく意味でも、しっかり戦っていけるメンバーを選びました」 女子W杯ドイツ大会を制し、日本中に感動を与えたのが2011年の夏。翌年のロンドン五輪、2015年の女子W杯カナダ大会でも銀メダルを獲得したなでしこジャパンは、世界のサッカー史上にさん然と輝く一時代を刻んだ。 しかし、ひとつのスタイルが確立されれば徹底的に研究され、それを覆すための手段が講じられるのが勝負の世界だ。世界との体格差やフィジカルの差を埋めるために磨かれた、ボールを大切に保持しながら人も動くなでしこの戦い方を、アメリカを筆頭とするライバル国も取り入れ始めた。 加えて、なでしこジャパンの世代交代の遅れが拍車をかける。佐々木則夫前監督(現十文字学園女子大学副学長、大宮アルディージャトータルアドバイザー)のもと、4位に入った2008年の北京五輪からほぼ同じ主力で戦ってきたチームは、同時進行で伸びしろも失っていった。 本来ならばロンドン五輪後の3年間で、着手すべきテーマが世代交代だった。佐々木前監督も挑んだものの、最終的には世界一メンバーが重用された。前回のW杯は何とか勝ち上がることができたが、翌2016年3月のリオ五輪アジア最終予選で限界を露呈した。 6ヶ国中で3位に終わり、上位2位までに与えられる五輪切符を逃したことを受けて、2008年1月から指揮を執ってきた佐々木監督が退任。ひとつの時代が終わりを迎え、現役時代は日の丸を背負って79試合に出場した実績をもつ高倉監督が就任した。 リオ五輪に出場できなかった悪夢は、イコール、次のW杯まで実に3年間も大規模な国際大会から遠ざかることを意味する。レジェンド澤穂稀さんが引退し、キャプテンを引き継いだ宮間あや(前岡山湯郷Belle)もリオ五輪アジア最終予選を最後に代表から遠ざかっている。 必然的に世間一般の注目度も下がったなかで、高倉監督は年代別の女子代表監督時代に指導した若手や、なでしこ経験のない選手を積極的に起用。選手間の新陳代謝を促しながら、来年のW杯に照準をすえてチームを作り直してきた。 その象徴が今回もメンバーに名前を連ねた、20歳のDF市瀬菜々、29歳のFW櫨(はじ)まどか(ともにマイナビベガルタ仙台レディース)、21歳のMF長谷川唯(日テレ・ベレーザ)らとなる。