いつのまにか話題性急落のなでしこジャパンは輝きを取り戻せるのか?
特に市瀬と長谷川は高倉監督のもとで初優勝を果たした、2014年のFIFA・U-17女子W杯の主力メンバーだった。いつかなでしこジャパン監督のバトンを託されたときには、すすんで受け取る決意を固めていた高倉監督は、就任会見でこんな所信を表明している。 「ずっと育成に関わってきましたが、日本には素晴らしい若手がたくさんいます。いままで輝かしい成績を収め、経験値の点でアドバンテージのある選手たちと伸びしろのある若手を融合させ、競争させながら新しいなでしこジャパンを作っていきたい」 高倉監督は2016年末までU-20女子代表監督を兼任。同年11月のFIFA・U-20女子W杯でも3位に入ったチームで活躍したのが市瀬、長谷川、そして今回招集された22歳のMF隅田凛(日テレ・ベレーザ)だった。 世代交代は時間と根気を要する。我慢を重ねながら、それでも就任以来の約2年間で結果も貪欲に追い求めてきたからこそ、高倉監督は「選手たちに経験を積ませる部分と勝たせる部分で、長く葛藤がありました」と偽らざる思いも会見の席で打ち明けている。 たとえば昨年末のEAFF E-1サッカー選手権大会。勝てば優勝が決まる北朝鮮女子代表との最終戦で0‐2と完敗を喫した。日本国内での開催ながら、ファンやサポーターの目の前で攻守両面において実力差を見せつけられた選手たちは、ポジティブな変化を見せたという。 「これまで日本を背負ってきた選手たちと同じような自覚と覚悟を、なでしこジャパンの一員として勝利をつかみにいくことの重さを、いまの選手たちが深く感じているところで言えば、少し前へ進んでいるのかなと思います」 同時に来年のW杯、2年後の東京五輪で再び存在感を放つための戦い方も再確認できた。歴代の指揮官が追い求めてきたスタイルを、ベテランや中堅、若手を融合させた陣容でよりスケールアップさせる青写真が脳裏には描かれている。 「プレーの強度やスピードの部分を埋める努力をしながら、上手さと賢さという部分を日本の武器として世界に挑みたい。サッカーに対する理解を深めさせ、技術を向上させて、応用力と時には忍耐力も必要ですし、いろいろな要素を全体的なあげながら、なでしこらしさを突き詰めていきたい」