海外メディアは北京五輪開会式をどう報じたのか…短縮、壮観な光と氷のショー、奇抜な小さな聖火点灯…「ウイグル族最終聖火ランナーの政治的意味」
北京冬季五輪の開会式が4日、現地時間の午後8時より、氷点下の北京の国家体育場(鳥の巣)で行われた。総監督として世界的に有名な映画監督チャン・イーモウ氏が指揮した開会式は、最新の映像技術が駆使され、色鮮やかな光のショーと花火で演出され、通常の開会式よりも簡素化された2時間23分で終了した。注目の最終聖火ランナーの一人には、ウイグル族の21歳の女子クロスカントリースキー選手が選ばれ、聖火点灯セレモニーは空中に浮かぶ巨大な雪の結晶のオブジェにトーチをそのまま差し込み小さな聖火台となる斬新で奇想天外なものだった。海外メディアは、この開会式をどう報じたのか。
日本選手団の1人はバク転で入場
オープニングセレモニーは、氷点下3.6度の極寒の「鳥の巣」で中国の「二十四節気」をテーマにした映像とカウントダウンから始まった。 LED照明と最新のプロジェクションマッピング技術やレーザー光線を駆使し、巨大な立方形のスクリーンがせり上がる光の艶やかな演出に招待客だけで3分の1程度埋まったスタンドから何度も拍手やどよめきが起きた。 選手団の入場行進は、漢字による国名の1文字目の画数で順番が決められ、日本は10番目。ノルディック複合男子の渡部暁斗とスピードスケートの郷亜里砂が旗手を務め、バク転をしながら入ってきた選手がネット上で話題に。マスクをしていたため選手の特定が難しかったが、翌日に予選2回目を控えるモーグルの松田颯だった様子。 またお姫様調のゴージャスな衣装と装飾のコスチュームで入場したカザフスタンの旗手が「カザフのお姫様」として注目され、民族衣装と裸で行進したサモアの旗手に驚嘆の声が集まった。 雪の結晶をイメージした国名を英語と漢字で書いた液晶プラカードが、それを持つ美人女性と共に「可愛い」とネットのトレンドワード入りした。 東京五輪では、13分間も行い、ひんしゅくを買ったIOCのトーマス・バッハ会長のスピーチは、また10分と長かったが、緊迫するウクライナ情勢を示唆するように「五輪休戦」を求め、注目の最終聖火ランナーは、1950年代生まれから7人の各世代のオリンピアンがリレーし、最後は、2001年生まれの男女2人が、トーチをそのまま空中に浮かんだ巨大な雪の結晶のオブジェに差し込み、歴代最少の聖火台となって上空へと吊り上げられた。 海外メディアが注目したのは、最終聖火ランナーに2001年生まれの男女2人を選び、女性がウイグル族のスキーのクロスカントリー選手のジニゲル・イラムジャンだったことだ。五輪の放映権を持つNBCニュースは「中国への世界的批判の後、ウイグル族アスリートが開会式で五輪聖火を運ぶ」との見出しを取り、米の公共ラジオネットワークNPRも「北京冬季五輪は聖火の点灯で政治的声明を発表した」とのタイトルで報じた。 中国政府が新疆ウイグル自治区の少数民族を抑圧しているジェノサイド問題が国際社会から批判され米国などが外交ボイコットを決めた理由のひとつになっていた。