今後12カ月でアジア個人投資家は株式に投資意向強い、地域全体では「米国」優位だが日本は「日本」を選択
また、今後12カ月の投資先としては、最近の好調な市場パフォーマンスにけん引される「米国」(34%)が最も高く、次いで、「グローバル」(25%)、「アジア(日本を除く)」(23%)が人気だった。この傾向は、シンガポールや香港の回答と同じになった。特徴的だったのは、日本で、第1位に「日本」(58%)と回答し、「米国」(37%)や「グローバル」(17%)よりも自国への投資を優先的に考えていることだった。中国も第1位は「アジア(日本を除く)」が31%で、「新興国」(24%)、「グローバル」(20%)という回答になり、他の地域との違いが大きかった。
一方、「投資をする主な理由は何ですか(単一選択)」という質問では、全体の58%が「長期的な資産形成のため」と回答し、「定期的な収入を得るため」(27%)、短期的な利益のため」(14%)の順だった。この結果に対し、カン氏は、「多くの投資家が長期投資を考えている傾向が見えた一方で、18~29歳の投資家では5人に1人しか投資期間を5年以上のスパンで考えている人はいなかった。時間を味方に付けられる若い投資家こそ、市場サイクルによって生じる資産価値の上下に一喜一憂するのではなく、長期の時間軸で投資に取り組むことが重要」と語っている。
地域別では、日本が「長期的な利益のため」という回答が74%と地域でトップだった。これは、日本においてNISA制度の利用について聞いた調査で、最も多い回答が「老後の資産形成(年金の補完)」という回答だったことと同じ傾向がみられた。
この調査結果に対して、フィデリティ投信の商品開発部長である松本学氏は、「日本は他のアジアの国々と比較して長期での資産形成の意識が高い結果となった。背景には、少子高齢化に伴い受給できる年金は減る一方で、寿命が延びて生涯に必要なお金は増えていることがある。老後の資産形成を目的とする長期資産運用では、年齢や状況により最適な資産配分やとるべきリスクが変化するが、個人のライフプランやゴールにあった資産運用を継続的に内容を見直しながら行うことは容易ではない。長期投資に適した商品や専門家にアドバイスを求めることなども活用して自分のゴールに適した運用を長期に続けられるよう工夫が必要」とコメントしている。(イメージ写真提供:123RF)
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