鈴木えみが性教育を発信する思い。被害者も加害者も生まない社会を #性のギモン
── わが子の成長とともに、伝える内容も変化させていったのですか。 そうですね。今、娘は小学5年生になるのですが、4年生になった頃から、「あの子とあの子が両思いかも」といった話題が出てきたので。さらに進んだステップで話してみようかなと思うようになりました。 年齢別にどんなことを学ぶかについては、私はユネスコの『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』というものを参考にしています。これは、性教育の国際的な指針とされていて、5歳から18歳以上まで、年齢に応じた学習目標がかなり詳しく記されています。 定期的にスマホで確認して娘と話したりしていますが、もちろんここに書いてあることが正解というわけではなく、子どもの心身の成熟度合いによって、学ぶ内容はアレンジすればいいと思っています。 そのほかに、普段の何げないコミュニケーションも、性教育につながると考えています。わが家ではお風呂上がりにドライヤーで娘の髪を乾かす時間も、有効活用しているんです。
── 髪を乾かしながら性教育? はい。娘は髪が長くて、乾かすのに毎日すごく時間がかかるので。私がドライヤーで乾かしてあげながら、お互いその日にあった嫌だったことと嬉しかったことを発表することにしているんです。 こうすることで、万が一何か異変が起きたときに、まずはそれを話せる親子の関係を作っておきたいなと。何より、自分が嫌だと思うことを認識して、それを言葉にする訓練が大事だと考えています。 例えば私も「今日、道で転んじゃってすごく恥ずかしかったんだよね」とか、なるべく小さな出来事を率先して話すんです。嫌なものは嫌だと思っていい、それを口に出してもいいと知ってほしくて。 やはり学校のような集団生活では、本当は嫌だったり悲しかったりしても、周囲に合わせるような場面はたくさんあると思うんです。社会生活において誰もが通ることかもしれませんが、まずは家庭だけは本音を出せる場でありたいなと思っています。 どんな些細なことであっても、自分の感じたことに正解も不正解もない。何が嫌で何が嬉しいかは、人によっても、そのときの状況や気分によっても変わるもの。人それぞれ、その時々の自分の気持ちを大切にすることは、他者の気持ちを大切にすることにもつながると考えています。それがひいては、被害者も加害者も生まない世界につながると思います。